事業を継続するためには、収入と支出を正確に把握することが必要です。プロジェクト単位で収支管理を行うことで、より詳細にお金の動きを把握することができます。プロジェクト収支管理は難しいと思われるかもしれませんが、ツールを使用することで効率的に行うことができます。
収支管理について詳しく知りたい方はこの記事を読むことで、管理する項目やメリット、収支管理の進め方について理解を深めることができます。また、ツールや選び方についても説明しているため、ツール導入の際にもご活用いただけます。エクセル上でのプロジェクト収支管理の煩雑さに困っている方も、ぜひ参考にして下さい。

プロジェクト収支管理ソフト「SmileWorks」
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1. プロジェクト収支管理とは

プロジェクト収支管理について

プロジェクト収支管理とは、プロジェクトごとに原価、売上、経費といった収支を管理することです。IT企業であれば開発しているシステムのプロジェクト、建設会社であれば建築している建造物のプロジェクトごとに収支の管理を行います。
プロジェクト収支管理を実施することで、プロジェクトの途中であっても収支を知ることができ、追加の投資を行うまたは人員を削減するといった判断を行うことができます。コストの削減や収支バランスに応じたプロジェクトを実施することができるため、大手企業のみならず中小企業においてもプロジェクト収支管理は大切です。

プロジェクトごとに収支管理をすれば、会社の状態が明確に理解できる。
プロジェクトごとに収支管理をすれば、会社の状態が明確に理解できる。

管理する項目

プロジェクト収支管理において管理する項目は、プロジェクトの大きさや種類、使用するツールによっても変わりますが、どのプロジェクトにおいても管理すべき項目というものがあります。ここではそれらの項目について解説します。

売上管理

最初に「売上」です。売上では、商品、数量、単価などの項目を管理します。また、請求書や売上伝票の管理も収支管理に含まれます。以上、プロジェクト収支管理では、「予算」「原価」「売上」の各項目を主に管理していきます。

予算管理

続いて「予算」について説明します。予算はプロジェクトを開始する前から組むことが可能で、売上、仕入、人件費などの予測を元に決めていきます。予算を管理することで、プロジェクト終了後に実績と合わせて予実管理を行うことができます。

原価管理

最後に、支出の部分に当たる「原価」です。原価には仕入原価と製造原価があります。仕入原価は他社から購入した商品や材料のことで、製造原価は労務費や経費など製造にかかる原価のことです。収支管理ではこれらの項目を管理します。

プロジェクト収支管理の基礎は、①売上管理、②予算管理、③原価管理を管理すること。
プロジェクト収支管理の基礎は、①売上管理、②予算管理、③原価管理を管理すること。

収支管理を行うメリット

プロジェクトごとに収支管理を行うと、どのようなメリットが得られるのでしょうか? メリットはいくつかありますが、大きなメリットとしてプロジェクトの「見える化」があります。収支管理を行っていなければ、プロジェクトにいくらお金がかかり、どのくらいの利益があるかわからず、管理者は状況を把握することができません。しかし、ツールを導入して可視化すれば、プロジェクトの状況を把握することができ、赤字プロジェクトを早期に発見したり、プロジェクトを改善するための行動を起こしたりすることができます。また、プロジェクトの収支を共有することで、メンバーの利益に対する意識を高めることができます。

> 関連記事「プロジェクトの収支管理において、絶対に必要な三つの重要ポイントとは?」

2. プロジェクト収支管理の進め方

この章では、プロジェクト収支管理の進め方について解説していきます。収支管理に限らず、事業活動をよりよいものにしていくには「PDCAサイクル」を回すことが大切です。PDCAとは、Plan、Do、Check、Actionの頭文字を取ったもので、事業活動を「計画→実行→検証→修正」の4段階にわけ、継続的に改善していく手法のことを指します。PDCAサイクルを実行する際にKPIを用いると、より効果的な収支管理を行うことができます。

KPI策定

KPIは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。事業活動を測定する様々な指標がありますが、その中でも特に重要な指標をKPIと呼びます。KPIは最終的な目標ではなく、事業活動の過程を評価するための中間指標です。KPIと似た指標にKGI(Key Goal Indicator)がありますが、こちらは中間指標ではなく最終的な目標になります。KPIを定めて中間目標を設定し、目標が達成できていなければ改善策を実施します。プロジェクト収支管理のKPIの例として、市場シェアや新規顧客数、損益分岐点や売上原価率などといったものがあります。これらのKPIを具体的な数値として策定し、KPI達成に向けて収支を管理していきます。

> 関連記事「業務成果を最大にするために、必ず設定すべきKPIとは?」

運用ルール策定

プロジェクト収支管理を適切に行うためには、運用ルールを策定することも必要です。策定したKPIをモニタリングするため、各指標に関するデータを取得する方法や、帳票のフォーマットに関するルールを策定します。例えば、実績として利用するデータの加工法が担当者によって異なると、実績に誤差が生じてしまいます。指標と正確に比較することができなくなるため、データの加工法に関してルールを策定する必要があります。また、利用する帳票のフォーマットをルールとして定めておくことで、指標を比較することが容易になります。

3. プロジェクト収支管理ツールとは

収支管理は管理する項目が多く複雑になりがちで、プロジェクトが大きくなるとエクセルでの管理が難しくなってきます。しかし、ツールを利用すると効率的に管理を行うことができますし、集計や分析といったことも容易に行うことができます。
この章では、プロジェクト収支管理ツールの概要や機能、提供形態について解説します。

プロジェクト収支管理ツールの概要

プロジェクト収支管理ツールは、見込、受注、開発といったプロジェクトの流れの中で、売上、仕入、経費などを管理するソフトウェアのことです。基本的な収支管理機能を備え、データの入力や各種設定を行うことで、収支を効率的に管理することができます。

主な機能

プロジェクト収支管理ツールの機能としては、予算管理、原価管理、経費管理といったものがあります。予算と実績を入力して経過を確認したり、各月ごとの売上を集計したりすることができます。また、会計システムと連携して売上データをエクスポートしたり、目標達成率をデータで表示したりするといった機能を持つツールもあります。具体的な例としては、作業内容、担当者、金額などを入力して見積書を作成し、予算、原価、売上予定金額などを入力してプロジェクトを作成します。プロジェクトの進行に合わせて、作業実績、経費、工数などを入力することで自動的に集計が行われます。

提供形態(インストール型、クラウド型)

ツールの提供形態として、インストール型とクラウド型の2つの種類があります。インストール型は従来型の提供形態で、PCにインストールして使用します。インターネット接続がなくても利用でき外部接続しないので、ウイルス感染といったセキュリティリスクが低いです。また、一度購入すると手元に置いておくことができ、基本的にそれ以上費用が発生することはありません。
一方、クラウド型は近年増加している形態で、ネットにつながる環境さえあれば、いつでもどこでも利用できることが強みです。また、会社のPCだけでなく、外出先でスマートフォンやタブレットから使用するといったこともできます。ツールを購入するのではなく、毎月利用料を支払って利用します。

4. プロジェクト収支管理ツール比較するポイント

機能

プロジェクト収支管理ツールには様々なものがあり、使える機能もツールによって異なります。自社のプロジェクトにとって必要な機能がなければ意味がないので、事前に必要な機能を洗い出し、それらの機能を備えているかしっかり確認を行いながら選定していきましょう。

費用

前章で説明したように、インストール型は1回払い、クラウド型は毎月利用料を払う形態になっています。クラウド型は毎月支払う形態ですが、月の費用は低く設定されているので、導入コストはインストール型よりも少なくなる傾向にあります。また、キャンペーンを行っている場合もあるので、関心のあるツールを定期的にチェックするとよいでしょう。

セキュリティ

収支管理では重要なデータを扱うため、セキュリティがしっかりしているツールを使うことが大切です。PCがクラッシュしてしまうと、これまで積み上げてきたデータが一瞬で失われてしまいます。個人のPCはいつか壊れるものであり、RAIDなど専門的な技術で対策を行っていない限り、セキュリティが万全であるとは言えません。しかし、多くのクラウド型のツールは最新のデータセンターで運用されており、障害に強いという特性を持っています。個人のPCに重要なデータが残らないため、セキュリティを重視するのであればクラウド型のツールがおすすめです。

提供形態

インストール型とクラウド型にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、ツールの用途を十分に検討した上で選択するとよいでしょう。ただ、クラウド型は現在急速に普及しており、今後もより一層普及していくことが予測されています。クラウド型はいつでもどこでも働けるという時代の流れに対応している一面があり、これからの働き方に沿った形態であると言えます。

5. おすすめのプロジェクト収支管理ツール

最後にツール選定のポイントや代表的なツールについて紹介します。無数のツールが販売されているので、どれを購入すればいいか迷ってしまうかもしれませんが、この記事で紹介する主な製品を参考にしてみてください。プロジェクト収支管理ツールの多くは、ERPパッケージの1機能として提供されています。

Smile Works



プロジェクト収支管理機能を備えたクラウド型ERPで、プロジェクト収支管理、承認ワークフロー、販売管理、在庫管理、給与計算、財務会計、配賦、経費精算などを備えている製品です。企業の経営に必要な機能をオールインワンで手に入れることができます。

参考価格:導入費50,000円+45,000円/10ID(月額)〜
Webサイト:SmileWorksのプロジェクト収支管理の詳細はこちら

案件単位で収支が出せる

・売り上げ金額、仕入れ金額の明確な管理
・工事に関わるメンバーの使った時間などから稼働工数も含めて収支・予実を算出可能

プロジェクトごとの収支管理を分かりやすくスムーズに
売上げ・仕入れ・経費・社内工数データをプロジェクトごとに管理し、プロジェクトの収支が一目で把握できるようになります。
> SmileWorksのプロジェクト収支管理の詳細はこちら

手間を減らすことができる

・帳票、書類を出力
・毎月の支払いを一括振込(銀行システムと連携)
・店舗・事業所間のやり取りがシステムに集約
・商品が多くてもマスタ管理ができ、簡単に管理ができる

会社の事業全体が見渡せる

・複数店舗。複数プロジェクトの収支管理ができる
・パソコン、スマホから状況をチェック

> 関連記事「経営管理におすすめのプロジェクト収支管理ツールSmileWorks」

ZAC

基本的な収支管理の機能を備え、3ヶ月先の売上を予測するといった機能や、事業部、担当者、代理店といったセグメントごとに業績予測レポートを出力する機能も備えています。特徴としては、会計士の目線でツールが設計されているため、会計業務に関する作業の効率化が図れる点です。

参考価格:導入費5,000,000円
Webサイト:https://www.oro.com/zac/

> 関連記事「プロジェクト収支管理ツール「ZAC」について」
> 関連記事「印刷業でプロジェクト収支管理をどのようにすると成果が出るか?」

OBIC7

営業から販売、収支管理までプロジェクトの全プロセスを管理できます。会計情報システムや給与システムと連携することも可能です。必要な機能を自由に組み合わせることができ、あらゆる業界のプロジェクトをカバーすることができます。データ作成、分析、帳票作成といった機能も充実しています。

参考価格:価格は公表されていませんが、年商数億円〜数十億円以上の規模を対象としている製品です。
Webサイト:http://www.obic.co.jp/erp_solution/

> 関連記事「クラウド導入も可能!OBIC7について紹介」
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BBJob

プロジェクト収支管理を行う「BBJob.net」と、分析・会計関連の機能がまとまった「BBJob.VBA」という2つのシステムから構成されています。月次ごとの収支を明確化し、担当者ごとに収益を明確化することもできます。
デザインや使いやすさなど、ユーザーインターフェースが優れています。

価格:導入費500,000円/10台+アカウント費50,000円/10台(月額)+サーバー利用料5,000~20,000円(月額)
Webサイト:https://www.project-shuushikanri.jp/

> 関連記事「プロジェクト収支管理ツール「bbjob」について」

6. まとめ

この記事では、プロジェクト収支管理の概要や進め方、ツールについて解説してきました。
利益を出さなくてもいいというビジネスは存在しません。収支を管理することはビジネスの基本であり、とても重要なことです。その収支管理をプロジェクトごとに行うことで、赤字プロジェクトを出さない、コストを削減する、利益に対する意識を高めるといった様々なメリットがもたらされます。
プロジェクトごとに収支管理を行うことは大変かもしれませんが、ツールを有効に活用することで効率的に管理することができます。エクセルでは管理が追いつかない、またはプロジェクトの収支管理を始めたいと思っている方は、ツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

プロジェクト収支管理ソフト「SmileWorks」
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