昨今マーケティングの主流にもなっている動画マーケティング。
「今はまだやった事がないが、これから動画広告などもやっていきたい」
そんな企業も少なくありません。
そこで今回は動画マーケティングを自社で実施するためには何が必要なのか?
重要なポイントをまとめて解説していきます。
動画マーケティングとは?
まず、動画とは写真やテキストに比べて情報量が多いため伝わりやすく、コンセプトや理念などの抽象的な部分もストーリーを活用して魅力的に発信する事が出来、その動画を介して企業と顧客がコミュニケーションを図ることから、とても訴求力があると言われています。
動画マーケティングとは、特にその訴求力の高い動画コンテンツを用いて顧客にリーチすることで、商品・サービスの魅力を効果的かつ正確に伝え、認知度向上やロイヤルティ向上、ひいては商品やサービス、企業全体のブランディングにも効果的です。
詳細は関連記事を参照してください。
関連記事:動画マーケティングサービスにおすすめの7社を比較!成功するコツや料金まで教えます!
動画マーケティングを実施する際にかかる費用
まず費用についてです。
自社で動画マーケティングを行う場合、主に以下の三つのポイントで費用がかかります。
広告媒体としてYouTubeを利用する場合
もっとも利用者数が多く主流で、広告主にもリーズナブルな広告媒体がYouTube広告です。
YouTubeの動画広告は「視聴時のアクション」により料金が変動します。
具体的には以下の2つのパターンで費用が発生します。
- 視聴者が動画広告をスキップせず、再生されてから30秒が経過した場合
(30 秒未満の広告の場合は最後まで) - 視聴者が動画広告の別ページへの広告リンクなどをタップ・クリック等した場合
これらの場合以外は費用がかかりません。
そのため他の動画広告サービスよりも料金設定がリーズナブルで手軽なため、初めての動画広告にYouTubeが活用されやすくなっています。
動画制作・編集ソフトを利用する場合
次に動画作成に必要な動画編集ソフトを揃える必要があります。
動画編集ソフトには有料のものが多いですが、無料ソフトも充実しています。まずは無料のソフトで作成してみてもいいかもしれません。
無料の動画編集ソフトは有名どころでは「Filmora 9」や「AviUtl」、Windowsを提供しているMicrosoft社の「Windows ムービー メーカー」、MacBookAirやMacBookProに標準でインストールされている「i Movie」などがあります。
しかし機能が制限されている、操作性が難しい、DVDを作成できないなどデメリット面もあるので、本格的に使用し始めると制限を感じるかもしれません。
有料の動画編集ソフトではadobe社の「PREMIERE PRO」やMac OS X向けの編集ソフトの「Final Cut Pro X」など数多くあります。
費用は買い切り型であればピンキリですが5,000~20,000円程度のものが多く、adobe社の様に月額制のものもあります。(adobeの「PREMIERE PRO」は単体で2,480円)
カメラや機材を購入する場合
また動画編集ソフトがあっても素材がなければ動画は作成できません。
そのためカメラなどの機材が必要です。
人気のGoProであれば約3~5万円程度、ビデオカメラや一眼レフカメラでの撮影も可能です。また最近ではスマホでの撮影も十分可能です。
最新のiPhone11やGALAXYなどは本格的なカメラと変わらないクオリティで撮影することも出来ます。
さらにカメラだけでなくジンバル(カメラの手振れなどをなくす機材)や三脚(カメラを固定する機材)なども場合によっては必要になるので、費用はカメラ本体以外にもかかると考えておきましょう。
各動画ごとのポイント
次に動画マーケティングでは各目的に合わせてそれぞれのポイントがあります。
具体的な事例とともに解説します。
プロモーション動画
プロモーション動画は以下の3つが重要なポイントです。
- キャッチーな演出で視覚的にアプローチする事でまずユーザーの目を引くこと
- 動画の特性である訴求力を活かしてサービスの魅力を効果的に伝えること
- 成果に繋がる様にCall to Actionをユーザーに促すこと
プロモーション動画の事例
音楽配信サービスAWAの動画マーケティング事例です。
一眼でわかるビジュアル面でのかっこよさで目を引き、世界最大規模である5000万曲が聴き放題という魅力を伝え、成果につながる様トライアル期間を設けていることを伝えています。
ブランディング
ブランディング動画の重要なポイントは以下の2つです。
- キャッチーな演出でユーザーの目を引き、認知度を拡大すること
- 動画の特性である訴求力を活かしてサービスの魅力を効果的に伝えること
ブランディング動画の事例
東洋証券が認知度拡大に用いた動画マーケティングの例です。
こちらの動画コンテンツは商品などの説明ではなく、若者の資産形成に対しての危機感を煽る様な内容になっています。
物語調で自己投影しやすい様な主人公なため、キャッチーでユーザーの目を引き、サービスの必要性を追求することに特化しています。
そのため証券などにあまり馴染みのない若者などにも効果的にアプローチでき、東洋証券の認知度を拡大するという点ではとても有効な例です。
商品・サービス紹介
商品・サービス紹介動画は以下の2つが重要なポイントです。
- 商品やサービスの魅力や機能、背景までをありのままに伝えること
- 商品やサービスの情報をできる限り多く伝えること
商品・サービス紹介動画の事例
即日給与支払いサービスのPaymeというサービスの動画です。
ここまでに見てきたプロモーションやブランディング動画と比較すると、動画の時間は長く、より詳しく丁寧に商品・サービスの解説をしています。
特に最初に問題提起を行い、そこに対してサービスがどの様に機能してソリューションになっているかをわかりやすくアニメーションで伝えています。
会社紹介
会社紹介動画は以下の2つが重要なポイントです。
- 会社情報をできる限り多く伝えること
- 会社の理念や思想、社風など抽象的な部分もわかりやすく伝えること
会社紹介動画の事例
and factory株式会社の会社紹介動画です。
社内で働いている環境を見せつつ、どの様に事業が生まれているのか、どの様なミーティングが行われているのか、どんな事業があるのかなどを1分45秒程度でまとめています。
ありのままを伝えることはもちろん、期待感をプラスするためにモーションアニメや色味など演出が入れられています。
その他
他にも例えば人材採用の動画やCSR活動報告動画などもあります。
それぞれ目的に合わせて、どの様な面に特化して作成すればいいかを考えながら作成するのが動画コンテンツ作成の鍵になります。
その他動画の事例
人材採用用動画
リクルートホールディングスの2016年の採用用動画です。
日本赤十字社が社会問題への認知を図るべく発信していた動画です。
動画マーケティングを実施する際の8つのポイント
以上の具体的な事例を見ることで、動画のイメージも固まってきたと思います。
ここからは実際に動画コンテンツを作成し、動画マーケティングを行う際の手順に沿ってポイントごとにまとめていきます。
目的の明確化
動画マーケティングは上述の様に目的に合わせて様々な種類の動画コンテンツが存在します。
そこでまず目的をはっきりしましょう。
具体的には上述した様に、
- 商品、サービスのプロモーション(認知度向上)
- 商品、サービスのブランディング
- 商品、サービスの説明用
- 会社紹介用
などが当てはまります。
それぞれの目的に合わせて動画の長さやコンセプトなどガラッと変わるので、ここはしっかりと定義しましょう。
ブランディングとプロモーションを同じ動画で行おうと作成するとどっちつかずのコンテンツになり、うまくいかなくなる場合が多いので迷う様であれば別々に作成する方がおすすめです。
ターゲットの選定
次にターゲット選定です。
ターゲットは目的に合わせておのずと定義されます。
現状コアターゲットにしているユーザーへの動画マーケティングであればそのままターゲットを引用し、新しいユーザーにアプローチしたければ従来のターゲットとは違う年齢層や地域、性別などの属性に焦点を当ててペルソナをしっかりと作り込みましょう。
利用する媒体の種類
動画マーケティングで特に最初に重要なことは、まず動画コンテンツをユーザーに届けることです。
ターゲットが明確になれば最も効果的に届きやすい、適した広告媒体が明確になります。
YouTubeは幅広い世代で活用されていますが、若い世代にアプローチしたければ年齢層の若い利用者の多いインスタグラムやTikTok、少し年齢層が高ければTwitterで、地域に合わせて発信するなど属性に合わせた発信がしたければFacebookで、などターゲットに効果的にアプローチすることのできる媒体を選ぶと効果的です。
SEO対策
さらに上記の広告媒体を利用するだけでなく、Web検索でもアプローチすることを忘れてはいけません。
上述した通り、動画マーケティングの第一優先はユーザーに動画を見てもらうことです。
どれだけクオリティの高い動画コンテンツが作成できても、見てもらう事ができなければ効果は0と言っても過言ではありません。
そのため動画コンテンツを発信するページをWeb上に整備し、しっかりSEO対策を行うことで、GoogleやYahoo!!などで表示され、見てもらえる経路を増やす様にしましょう。
またSEOは広告ではないため効果をすぐに出すのは難しいですが、しっかりと整備できれば、長期間維持費のみで上位表示し続ける事ができるため、長いスパンで見ればコスパの良い手法です。
短期的な目線と長期的な目線の両方から考えて施策を打ち出しましょう。
コンバージョン率
動画マーケティングでのコンバージョン率とは成約率、CVRとも言われ、目標や成果に達した数を動画視聴数で割った割合のことです。
マーケティングにおいてコンバージョン率は最も重要な問題です。
動画コンテンツを配信することに精一杯になってしまい、成果につながる部分の整備を怠ってしまっているケースも少なくありません。
例えば動画の再生回数は非常に多いのに、その動画ページに問い合わせ先や購入リンクなどを明記し忘れている場合があります。
その場合いくら動画が人気でも売上に繋がらない事があるので、一番もったいない状況です。
最低限の設定をした上で動画マーケティングをはじめましょう。
効果測定や分析をしっかり行う
動画マーケティングを開始したら常に効果測定と分析を行っていきましょう。
動画マーケティングでは分析すべき指標がコンバージョン率をはじめ、多くあります。
具体的には以下の様な指標があります。
- 再生回数
- クリック再生率(動画表示回数に対しユーザーが自らクリックして再生した回数の割合)
- 視聴維持率(動画が何秒で何割の人が視聴継続していたかを表す)
- コンバージョン率
また他にも、動画を掲載しているサイトの滞在時間や直帰率まで分析するとより効果的です。
これらの指標を元に、常にボトルネック(成果につながっていない1番の原因)を明確にし、改善していく必要があります。
PDCAを回す
そして動画マーケティングも例外なくPDCAサイクルを回す事が重要です。
動画コンテンツを作るために様々な計画を立て(Plan)、実際に動画コンテンツを広告などで配信し(Do)、上述した分析指標を元に効果測定を行い(Check)、計画時に決めた目的・成果に合わせて、さらなる結果を出すための改善を行う(Action)という一連の流れを常に行いましょう。
その中で必要であれば新たに別の動画コンテンツを作成しましょう。
SNSで発信する
さらに広告だけでなく、自社が所有する全てのSNSに掲載し続けましょう。
広告出稿などは期間限定になりますが、自社のアカウントに保管するのであれば半永久的に残す事ができます。
過去数年前に作った動画でもいまだに毎月わずかながら成果につながっているという会社も少なくありません。
実績は常に残し、ストックしていく様にしましょう。
以上今回は動画マーケティングを自社で行う場合に重要な8つのポイントを紹介しました。
特に本格的に始めればさらに詳しい情報が必要になりますが、今回はその入門編として作成しています。
この記事を元に、ぜひ少しでも売上向上や新規顧客の獲得に動画マーケティングを活用してみてください。