ネットリサーチの進め方と注意点を解説

ネットリサーチとは?

「ネットリサーチ」とは、インターネット上で質問から回答の収集まで手軽に行うことができるリサーチのことです。「Web調査」と言われることもあります。ネットリサーチを行う場合、回答者はインターネットを介してアンケートサイトにアクセス、Web上で回答してもらうことになります。

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ネットリサーチの進め方のポイント

ネットリサーチは段階別に分けると「調査企画」「調査票作成〜実査」「集計」「分析〜レポート作成」に分けることができます。それぞれのポイントを解説していきます。

調査企画(調査目的)

調査企画を立てる段階では調査目的を明確にし、現状抱えている課題や調査対象などをはっきりさせることが大切です。

解決すべき課題を明確に

ネットリサーチを行うためには、まず解決すべき課題を明確にすることが大切です。コストや労力もかかってしまうため、できるだけ効率的にリサーチを行うべきです。
そこで仮説を構築してみましょう。例えば自社のA商品が売れ行き好調である理由を調べたい、という場合「販促が良かったから」「顧客とA商品のコンセプトがマッチしたから」などの仮説を立てることができます。今後の調査はここで立てた仮設をもとに設計していくのです。

調査対象者を誰にするか

誰を対象に調査をするのか、できるだけ具体的に条件設定をしていきましょう。例えばA商品が酒類の場合、調査対象を20歳以上とだけ設定するのでは不十分です。もちろん調査したい内容によってはあえて具体的にターゲットを絞らないこともあるでしょう。しかし、基本的にはどんなお酒をよく飲むのか、その頻度はどの程度か、といった実態によって分けて絞っていくべきです。「ビールを週に1回以上は飲む人」などと調査対象者に具体性を持たせるとよりマーケティングに役立つ結果を得ることができるでしょう。
調査対象者の選定は非常に重要になってきますので、よく検討して決めるようにしましょう。

どのくらいの人数に調査するか

調査対象を決めれば次に標本サイズを決定します。これは何人に調査するのか、ということです。標本サイズはその後の分析を意識して決定しなければなりません。例えば、ビールを飲む人を対象に調査するとき、性別での比較や年代別での比較など、どこまで細かく分析をしたいのかによって人数は変わってきます。
なぜならランダムに集めた100人を対象に調査してしまうと男性が70人で女性が30人などとバラつきが生じてしまう可能性があり、1人あたりの重みが変わってしまうからです。一般に標本は少なくとも30程度必要とされていますので、分析したい最小単位ごとに30人を確保しなければなりません。すると「30人×〇」となり、分析を行う区分が10セルあれば300人が必要ということになるのです。
さらに、上の区分とは別の観点から条件を絞ることもありさらに標本サイズが大きくなることも珍しくありません。例えば、年代別や性別をまたいで「過去にA商品を購入したことのある人」「A商品を知っている人」などといった条件を設けることです。すると、この区分だと性別や年代も関係ない集計結果を出すこともできます。
細かく条件を設定すればするほど標本サイズは大きくなってきます。最初に分析を意識した設計をしていなければ、データを集めたものの意味のある分析結果が得られないということにもなりかねませんので注意しましょう。
またさらに精度を上げるという観点からも、関連商品を視野に入れた調査設計をすることも大切です。例えばA商品に関して調べたい場合であっても、類似するB商品・C商品に関する分析もできるようにすることでこれまで気が付かなかった別の可能性が見えてくるということもあります。

質問内容を決定する

課題を明確化、調査対象および調査人数を決定できればいよいよ質問内容を決定していきます。当然、課題を解決するために必要な質問でなければなりませんし、とにかく多く質問して大量に集計すればいいというものでもありません。最小の質問で済ますためにも、質問内容はよく吟味して決定しましょう。

調査票作成〜実査

調査票作成の段階では、わかりやすい質問になるよう配慮することが大切です。もちろん、調査の目的に沿った調査票の作成、実査をしなければなりません。

わかりやすい質問内容

前項の過程を通してネットリサーチの設計ができれば、調査票を作成し実査を始めていきます。調査票の質問作成にあたり、質問文章はできるだけわかりやすくしなければなりませんが、その際には、回答者によってニュアンスが違って伝わることがないように意識しましょう。別の意味に捉えることもできるような質問内容だと分析の意味がなくなってしまいます。
また回答者が迷いにくいレイアウトにすることも大事です。例えば、時系列に沿った質問の配置にすることも有効的です。最初に過去のことに関して質問し、次に現在の状況、最後に将来のことを質問する、といった流れです。
「Yes」「No」を選択するだけのシンプルで答えやすい質問から始めるのもいいでしょう。最初から文章で答えさせる質問を配置すると回答者も疲れてしまいます。極力思考を妨げない構成にするよう配慮しましょう。

調査の目的に沿っている

当たり前のことですが、調査票の内容は、調査の目的に沿っていなければなりません。何を知りたいのか、得た情報をどのように活かしたいのか意識しましょう。関連するように思える質問であっても、あまり必要性のない情報かもしれません。

集計

集計には「単純集計」と「クロス集計」があります。それぞれどのような違いがあるのか簡単に見ていきましょう。

単純集計

単純集計とは最も基本的で、シンプルな集計手法です。回答結果をそのまま収集するため、複雑な内容理解には至りませんが全体像を把握するには十分で、労力も少なくて済みます。
例えば「A商品を知っていますか?」という質問に対し回答に「使ったことがある」「名前だけ知っている」「知らない」の選択肢が用意されていたとします。単純集計ではそれぞれの回答率を把握できます。使ったことがある人が40%、名前だけ知っているという人が50%、知らないという人が10%といった具合です。

クロス集計

クロス集計によれば細かな分析ができるようになります。単純集計のように各項目をただ足し算していくだけでなく、複数の項目を組み合わせた集計を行うことになるからです。
上の例で言うと、A商品を使ったことがある人は40%ですが「男性は15%」「女性は25%」であることも把握できるようになるのです。別の質問から得た情報をクロスして集計しています。そのため「Yes」「No」の合計算出だけでなく、回答者の属性別で傾向を調べることもでき、より実践的な戦略を立てることにも繋がるでしょう。つまりマーケティングへの活用の幅を広げられ、ニーズを正確に知ることができるようになります。
ただしクロス集計で細かなデータを得ようとするほど質問数は増えますし、回答者の負担も増えてしまいます。膨大なデータを集めることになれば調査側のコストも高くなってしまいます。

分析〜レポート作成

データを集計後は、仮説と照らし合わせてどのような結果が得られたのかが見えるように分析をしていきます。

仮説に対する結果

分析では、最初に立てた仮説が正しかったのかどうかが分かるようにします。レポートはその結果を分かりやすい形で伝えられるようにまとめましょう。
ネットリサーチをした結果、仮説通りであったことが分かればその後企業としての意思決定をし、具体的な改善施策を始めることになるでしょう。逆に仮説とは異なる分析結果だったとすれば戦略を見直す機会となります。いずれにしてもリサーチをすることで無駄な意思決定や戦略を排除することができ、より意味のある行動に修正することができるでしょう。

ネットリサーチをする際の注意するべきポイント

ネットリサーチを進める流れとしては上の通りですが、注意すべきことがいくつかあります。その中でも代表的なものを挙げていきます。

マルチデバイスに対応している

ネットリサーチはインターネット環境さえあれば実施することができます。ただ、近年はスマホの普及やタブレットを使用する人も増えてきています。スマホの機能がPCに迫ることで日常的にインターネットにアクセスするデバイスはスマホになりつつあります。そのためネットリサーチでもPCだけを対象にするわけにはいきません。様々なデバイスに対応した調査票設計が重要となります。
そこで小さな画面でも回答しやすいように配慮をしなければなりません。一つの画面から取得できる情報量もPCに比べてスマホはかなり限られるため、質問内容へのこだわりだけでなく、レイアウトへのこだわりも求められるようになっています。
PCでしか回答できない場合、回答者数が減るだけでなく、一定のバイアスがかかることも覚えておくべきです。若い世代ほどスマホの利用率が高いという実態があるため、年齢層などの偏りが生じてしまいます。そのためリサーチ会社に調査を依頼する場合にはマルチデバイス対応ができているかどうか、必ずチェックすべきでしょう。

回答しやすい質問数・わかりやすい質問内容

上でも少し触れましたが、質問数および質問内容はよく考えて設定すべきです。そのためには回答者側の気持ちを想定した構成作りが欠かせません。対価をどのように設定するのか、という問題と同じく回答者のモチベーションは調査結果の精度を左右する大事な要因となるからです。前半の回答内容は精度が高いものの後半になると精度が落ちてしまうという可能性も出てきます。これは質問数が多すぎると特に起こりやすいですし、質問数が少なくても、質問内容が分かりにくいと回答者にストレスがかかり、やはり精度は落ちてしまいます。
従来の紙を利用したアンケートだと調査票全体のボリュームが視覚的に分かりやすかったのですが、ネットリサーチになることでこれが見えなくなるためこうした弊害は生じやすくなっています。そこで質問数を減らすことができない場合でも「質問は全部で〇問です」「現在の回答状況〇%」などと表示する工夫をするといいでしょう。

重複回答の確認・削除

重複回答・不正回答を削除することは調査の質を保つためにも大切です。この作業は紙で回答する場合よりもネットリサーチのほうがはるかに省力化できます。チェック機能がしっかり備わっているシステムであればわざわざ担当者が視認することなく自動的に確認、削除してくれるからです。リサーチ会社を利用する際には異常なデータをどれだけきちんと排除できるのかどうかというところにも着目しましょう。


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