ネットリサーチとは?

「ネットリサーチ」とは、インターネット上で質問から回答の収集まで手軽に行うことができるリサーチのことです。「Web調査」と言われることもあります。ネットリサーチを行う場合、回答者はインターネットを介してアンケートサイトにアクセス、Web上で回答してもらうことになります。

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ネットリサーチの活用方法

ネットリサーチを活用すれば従来の調査方法に比べて、多くの場合コストを下げることができますし、調査結果を得るまでの時間を大幅に短縮することができるというメリットがあります。この他ネットリサーチをすることには様々なメリットがあり、以下のような活用をすることができます。

LPなどのサイトに具体的な数値を入れ説得力を高める

LP(ランディングページ)とは、オンライン上の広告をクリックした際最初にユーザーが見るページのことです。外部サイトからの着地点になることからランディングページと呼ばれています。
LPは他の一般的なWebページとは異なり、ユーザーに消費行動を起こしてもらうという明確な目的を有しています。ここでの行動のことをコンバージョンと言います。そのためLPにやってきたユーザーが商品の購入や資料請求、問い合わせなどをしてくれるようにページ設計をしなければなりません。LP訪問者のコンバージョン率を上げなければならないため、できるだけ自社サービス等をアピールすることになりますが、そのためには説得力ある情報を見せることも必要になってきます。そこで有用なのが具体的数値を用いたアピールです。例えば、お客様満足度をパーセンテージで載せたり、利用者の使用状況が分かる数値を載せたりすることでユーザーは少し安心感を覚えます。多くの人が利用しており、そしてその評価も分かり、具体的な数値があることでより説得力も生まれるからです。ネットリサーチを使えばこういった数値を簡単に得ることができ、説得力あるLPが作成できます。

既存商品の課題を見つける

ある商品やサービスについて、誰がいつどこで使用しているのか、どれだけの量や頻度で使用しているのか、その理由は何なのか、といった情報は販売促進戦略において非常に重要なことです。商品等の利用実態に関して情報が少ないと市場や消費者の状況を把握することができないため、効果的な戦略を立てることができません。そのため既存商品の改善点など、課題を見つけるためには情報を広く集めることが欠かせません。ネットリサーチでは消費者の利用実態をアンケートで知ることができます。郵送や直接聞き込みをする場合に比べて迅速に動くことができ、アンケートの内容によっては即日結論を得ることも可能となります。

新規企画のヒントを得る

既存商品の課題を見つけるだけでなく、新しい商品や企画を作る際にもネットリサーチは活用できます。例えば新規商品の企画や開発の前には、購入者となるターゲットをしっかりと見極める必要があり、どのような商品がどの層に求められているのか把握しなければなりません。ネットリサーチでは、瞬時に数万人や数十万人、大手リサーチ会社なら数百万人ものモニターにアクセスすることができますので、どのような開発をすればいいのかヒントを得ることができます。

特定の人にのみ調査したい

ネットリサーチではスクリーニングによる絞り込みも容易にできます。これは事前調査とも呼ばれ、詳しく聞き込みたいモニターを特定の人に絞るために行われます。しかもネット上での調査であれば設問の遷移も簡単で、モニターの選別が簡単にできます。回答側の負担も小さくて済みます。紙のアンケートだとこれが面倒な作業になりますし、配信から回収までの時間と労力も大きくなってしまいます。できるだけ回答者の負担を減らすことは回答の質を維持するという観点からも大切なことで、収集するデータの精度を高く保つためにもネットリサーチは有効であると言えるでしょう。
また、リサーチ会社が保有するモニターであれば基本情報として年齢や性別、地域などは登録されてあるため、簡単な分類であれば事前調査も必要ありません。特定の者にだけ調査を実施することができるのです。

ネットリサーチを使った事例

株式会社メルカリ

内容

メルカリでは認知調査・満足度調査をするためにネットリサーチが用いられた事例があります。ネットリサーチによる認知調査の効果測定をすることで、マーケティング施策に活かそうとするのがその目的です。

方法

認知調査をする方法としては、「Fastask」というセルフ型のネットリサーチツールを使っています。このツールを使えば簡単にアンケートが作成でき、配信するだけで調査ができます。アンケートの内容を自社で考えて満足度調査にも活用でき、集計ツールも無料で提供されるためデータを集めるのも自動です。

結果

セルフ型のネットリサーチということもあり、この事例では調査に対するコスパが上がったという一つの効果が得られています。また自社が顧客に対してのみ満足度調査をする場合よりも無駄なバイアスがかかっていない調査結果が得られたという成果もあったようです。というのも自社で実施する場合にはすでに繋がりのある顧客へアンケートを出すことが多く、第三者に幅広く配信することが難しいという事情があるからです。その場合フラットな評価をしてもらえない可能性があります。そこでネットリサーチのサービスを利用しています。結果的に先入観のない客観的な評価を得ることができています。

アサヒビール株式会社

内容

アサヒは2010年に「ダブルゼロ」というノンアルコール飲料を発売していましたが、シェアが2%程度と伸び悩んでいました。そこで新たにノンアルコールの「ドライゼロ」を発売するため、マーケティングリサーチを行ったのです。調査の目的はノンアルコールビールの飲む回数や頻度等を把握すること、競合のブランドイメージを把握することでした。

方法

この調査では、予備調査が行われています。スクリーニングとも呼ばれる調査で、本調査の前に回答者を絞り込むなどの目的で行われるものです。予備調査ではノンアルコールビールや通常のビールを飲む頻度や量に関する質問をしています。
そして本調査を2度実施し、全回答者は1000人にも及んでいます。調査では特にノンアルコールビールを飲むシチュエーションについてのアンケートを取っています。

結果

この調査ではノンアルコールビールを飲む回数および頻度、そして競合ブランドのイメージを知ることができています。そこから分かったことは、普段からビールを飲んでいる人でも「明日の仕事の都合」「休肝日」などを理由にノンアルコールビールを飲んでいるということです。
さらに競合製品についてはその当時女性的なもの、健康を意識した商品が多く男性的でビールに近いイメージのものについてはホワイトベースになっていることが分かっています。そこでビールの代用品としてのポジションで売り出すことにし、2012年には「ドライゼロ」が誕生しています。
ドライゼロはノンアルコール市場でシェア24%にまで伸びたという成果も出しました。

株式会社朝日広告社

内容

株式会社朝日広告社でもセルフ型のネットリサーチを導入した事例があります。その背景には自主提案における予算の問題やデータ収集にかかる労力および時間の問題があったようです。予算の制約があるため、精度の高い提案をするにもなかなか調査ができないというケースがあったのです。例えばプレゼンの規模が大きければ調査をするための費用もかけることができるものの、自主提案となれば調査を実施したくても予算や時間の問題があってできないということもあります。そこで比較的手軽かつ安価に実施できるセルフ型のネットリサーチが着目されました。

方法

この事例で使用されたのは「Freeasy」というセルフ型アンケートツールです。セルフ型のため自分でアンケート画面の作成は行わなければなりませんが、複雑な操作なく感覚的に作成することができます。「Freeasy」では全国450万人を対象に24時間データを回収することができます。マルチデバイス対応、マトリクス設問でのイメージ調査や心理尺度の設定、その他複雑な調査にも対応できるツールです。

結果

株式会社朝日広告社で導入した結果、企画書作成までのスピードや精度を高められたという成果が得られています。これは調査中の回答状況がリアルタイムで確認できるということが大きく影響しています。調査結果がすべて完了する前に企画書作成に取りかかることができるからです。また翌日には結果が見られるため利便性も非常に高いです。
また自社で独自のアンケートなどの調査を行う場合とは違い、集計データを自動的にグラフ化して表示することができるため、自分の手を動かして可視化のための作業をする必要がなくなります。
結果的に、企画書の質や作成スピードが向上したという結果が得られています。

官公庁

内容

民間企業ではありませんが、官公庁がホームページリニューアルのためにネットリサーチを活用した事例も紹介しておきます。
ここでは、ホームページのリニューアルにあたり具体的な改善点を見つけるために調査が実施されています。サイト訪問者は職業によって大きく3つのグループに分けることができると分かっていたため、グループ毎にサイトの欠点を指摘してもらい効率的なリニューアルを実施することが目的です。

方法

まずはサイト訪問者を3つのグループに分けるため、ネット上でスクリーニング調査を実施しています。そこでグループ分けをするとともにインタビューに参加できる対象者を抽出していきました。それぞれのグループで普段通りホームページ内を徘徊してもらい、該当するサイトページにたどり着くまでの様子を観察しています。

結果

この調査の結果、全体的にホームページの操作が分かりにくいという状況が把握できたようです。さらにサイトのバナー、アイコンの背景色や文字色が見にくいということも分かっています。
そこでこれらの結果を踏まえ、サイト訪問者の視線に配慮したレイアウトの構築、適切な情報量を意識したレイアウトであることが必要という評価に至っています。具体的にどの箇所をどのようにすべきかが見えたため、調査結果がリニューアルの効率化に貢献したと言えます。