障害者雇用納付金制度を徹底解説!どんな企業が支払うの?

障害者雇用納付金制度とは?

障害者雇用納付金制度は、『障害者雇用促進法』に定められている『法定雇用率』を満たしていない企業から納付金を徴収し、法定雇用率を満たしている企業に助成金や調整金を支給することで、法定雇用率を満たしている企業と満たしていない企業との間の経済的、時間的負担を埋めることを目的とした制度です。

どういうことか?詳しくご説明していきます。

法定雇用率とは、事業主に対しての法律で、民間企業の場合、企業全体の従業員数のうち『2.2%以上』を障害のある方で占める義務があります。
ちなみに、国・地方公共団体の法定雇用率は『2.5%』となっています。

障害のある方の採用にあたり、企業内では特別な設備の準備や、従業員への協力呼びかけを行う必要があります。

そのため、法定雇用率を満たしている企業は、満たしていない企業よりも経済的、時間的負担が掛かる場合があります。

そんな企業間の負担を調整するのが今回ご紹介する『障害者雇用納付金制度』となります。
事項で『障害者雇用納付金制度の概要』について詳しくご説明していきます。

障害者雇用納付金制度の概要

では、障害者雇用納付金制度の『目的』『障害者雇用義務の対象者』『障害者雇用納付金制度の対象事業主』について一つ一つご説明していきます。

障害者雇用納付金制度の目的

障害者雇用納付金制度の目的は、先ほど言った『企業間の経済的、時間的負担を埋める』です。
法定雇用率を満たしていない企業から納付金を徴収し、法定雇用率を満たしている企業へ調整金や助成金、報奨金を支給します。

それにより、障害者を雇用する際に生じる経済的、時間的負担の差を埋めます。

障害者雇用義務の対象者

では、そもそもどんな企業が障害者雇用促進法による障害者の雇用義務を負うのか、ご説明していきます。

※2018年4月1日の障害者雇用促進法の改正により、障害者の雇用義務のある事業主の対象範囲が変わりました。

従来、50人以上の社員が常時労働している国、地方公共団体、民間企業の事業主に対して障害者雇用が義務付けられていましたが、今回の改正により『50人以上』という基準が『45.5人以上』に変更されました。

そのため、全体の従業員数が常時45.5人以上の国、地方公共団体、民間企業の事業主は『2.2%』の法定雇用率を満たすよう、障害のある方を雇用しなければなりません。

この「常時」という基準については以下の通りです。

  • 契約期間の定めなく雇用されている労働者
    (補足:無期雇用契約を結んでいる労働者(正社員など))
  • 過去1年間以上継続して雇用されている労働者または雇用開始から1年間以上継続して雇用されると見込まれる者
    (補足:有期雇用契約を結んでいるが、契約更新が何度か行われているなど、事実上、期間の定めなく雇用されている人と同じ状態だと思われる労働者(契約社員・パートなど))
  • 1年以上継続して雇用される者(見込みを含む)で、そのうち1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者
    (補足:有期雇用契約を結んでいるが、契約更新が何度か行われているなど、事実上、期間の定めなく雇用されている人と同じ状態だと思われる労働者(契約社員・パートなど))

そのため、新たに障害者雇用の義務を負った事業主は注意が必要です。

引用:大阪府 障害者雇用率制度について

障害者雇用納付金制度の対象事業主

障害者雇用納付金制度の対象事業主は『納付する側』と『支給される側』の2つに分けられます。

障害者雇用納付金を納付するのは法定雇用率を満たしていない企業で、支給されるのは法定雇用率を達成している企業になります。

こちらの基準についても事項で詳しくご説明していきます。
 

障害者雇用納付金の納付

どんな企業が障害者雇用納付金を納付しなければいけないのでしょうか?

法定雇用率が未達成の事業主

結論から申しますと、障害者雇用納付金を納付しなければいけないのは『法定雇用率が未達成の事業主』です。

法定雇用率とは?

「でもそもそも法定雇用率って何?」という方のために法定雇用率のご説明をしていきますね。

障害者雇用促進法では民間企業、国や地方公共団体などの事業主に対し、全従業員数のうち、障害者の方の雇用を規定された率以上になるよう義務付けています。この規定された率のことを『法定雇用率』と呼びます。国・地方公共団体、民間企業の法定雇用率は以下の通りです。

【法定雇用率】

国・地方公共団体:2.5%
民間企業:2.2%

また、2021年までにこの法定雇用率の0.1%の引き上げが予定されています。

つまり全体の従業員数が46人以上の企業の場合、2.2%という法定雇用率を達成するためには、障害のある方を1人以上雇用しなければいけない、ということになります。

【法定雇用率の算定対象となる障害者】
  • 原則として、週30時間以上の常用労働者(1年を越えて雇用が見込まれる者)
  • 重度身体障害者、重度知的障害者については、1名を2名として計算できる。
  • 短時間労働者の重度身体障害者、重度知的障害者は、1名として計算される。
  • 短時間労働者の精神障害者については、平成30年4月から特例措置が設けられ、要件(※)を満たす場合は、1名として計算される

この法定雇用率未達成の企業は、障害者雇用納付金制度に沿って納付金を支払う必要があります。

引用:厚生労働省 障害者雇用率制度

事項では支払う納付金の金額や条件について詳しくご説明していきます。

常用労働者が100人を超える事業主

常用労働者が100人を超える事業主が法定雇用率を達成していなかった場合、不足する障害者数1人につき月5万円の障害者雇用納付金を支払う必要があります。

しかし、常用労働者数が100人以下の中小企業からは徴収していません。

常用労働者が100人〜200人の事業主

常用労働者100人超200人以下の事業主は、法定雇用率を満たしていない場合、平成27年4月から平成32年3月まで納付金が不足障害者数1人につき5万円→4万円に減額されます。

引用:厚生労働省 障害者雇用納付金制度の概要

障害者雇用調整金・報奨金の支給

では、どんな事業主が障害者雇用納付金制度の調整金、報奨金を受け取れるのでしょうか?
詳しくご説明していきます。

法定雇用率を達成している事業主

調整金、報奨金を受け取れるのは法定雇用率を達成している企業になります。
では受け取れる報奨金の金額や条件はどうなのでしょうか?

常用労働者が100人を超える事業主

常用労働者が100人を超える事業主で、法定雇用率を超える障害者を雇用している場合は、超えて雇用している障害者数1人につき月2.7万円の障害者雇用調整金が支給されます。

常用労働者が100人以下の事業主

常用労働者が100人以下で障害者の割合を4%または6人を超え雇用する事業主に対しては、その超過人数1人につき、2.1万円の報奨金が支給されます。

在宅就業障害を雇用している事業主

「在宅就業障害者支援制度」は、在宅で仕事をする障害者に仕事を発注し、報酬を支払った企業へ特例調整金・報奨金を支給する制度です。

【在宅就業障害者特例調整金・報奨金の計算式】

企業の年間の在宅就業障害者への支払総額÷35万円(評価額)×2.1万円(調整額)

つまり、在宅就業障害者に年間105万円の報酬を支払っている場合
105万円÷35万円×2.1万円=6.3万円

このような計算式となり、企業に6.3万円の在宅就業障害者特例調整金・報奨金が支給されます。

引用:厚生労働省 在宅就業障害者特例調整金・報奨金

常時労働者100人以下で条件を満たしている事業主

常時雇用している労働者の総数が100人以下である月が8ヶ月以上かつ、以下の条件を満たしている事業主は『特例報奨金』の申請が可能です。

【条件】

①「4月から3月までの各月ごとの常用雇用労働者数 × 4/100の合計数」
②「72人」
のいずれか多い数を超える障害者を雇用している事業主は報奨金の申請ができます。

報奨金の額=(各月ごとの算定基礎日における雇用障害者数の合計数 - ①又は②のいずれか多い数)
×1人当たり月2.1万円の支給となります。

報奨金申請事業主

報奨金申請事業主であって、前年度に在宅就業障害者に仕事を発注し、報酬を支払った場合も報奨金の支給対象となります。

【在宅就業者特例報奨金の計算式】

企業の年間の在宅就業障害者への支払総額÷35万円(評価額)×1.7万円(報奨額)

つまり、在宅就業障害者に年間105万円の報酬を支払っている場合
105万円÷35万円×1.7万円=5.1万円

このような計算式となり、企業に5.1万円の在宅就業者特例報奨金が支給されます。

対象障害者を雇用している事業主

短時間であれば働くことができる障害者を雇用する事業主に対して支給されるのが『特例給付金制度』です。

1年を超えて雇用される身体障害者・知的障害者・精神障害者かつ、週の労働時間が10時間以上20時間未満の障害者を雇用している事業主が対象です。

  • 100人超えの事業主へ:7,000円/1人
  • 100人以下の事業主へ:5,000円/1人

このような特例給付金が支給されます。

引用:独立行政法人 高齢・障害求職者雇用支援機構 障害者雇用納付金制度の概要

引用:独立行政法人 高齢・障害求職者雇用支援機構 特例給付金制度のご案内


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