出張手当とは

出張手当とは宿泊費や交通費など出張業務にかかった支出を会社が立て替える費用のことです。ここで注意する点として、通勤手当や今回の「出張経費」については、所得税法上『非課税』の取り扱いになる点です。通常の従業員または役員への手当て支給は給与課税の対象となりますが、「出張手当」は異なりますので、同じ手当てでも注意しましょう。

出張手当の相場

出張手当・出張経費の額には法律上明確な基準はありません。そのため、出張手当に関する社内規定を1から作成する場合は、支給額が非常に困りやすいポイントです。そこで今回は、費用額を決定するためにも国内海外それぞれの出張経費の相場をみていきましょう。
下記は、産労総合研究所の「国内・海外出張旅費に関する調査」から2017年度の調査の数字を引用しています。より詳しく調査したい方はこちらを参照してください。

引用:https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/shanaiseido/shuccho/pr1710.html

国内出張の場合

日当の相場

国内出張の日当の相場は約2,000-3,000円です。また日帰りの出張か宿泊かによって、支給されるか否か、あるいは支給額が異なる企業もあります。

国内日帰り出張の日当を支給する企業は86.8%。平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)は、部長クラス2,491円、一般社員1,954円です。
宿泊出張の日当を支給する企業は91.4%。平均支給額(全地域一律の場合)は、部長クラス2,809円、一般社員2,222円です。

宿泊料の相場

国内宿泊出張の場合、相場は約8,000-9,000円です。しかし、東京や大阪などと地方のホテルでは相場が異なります。その場合には、一律の支給では過剰に支払ってしまう可能性があります。そのため、企業によっては一律の額を減らし、必要な場合に例外で支払いする方法をとっている会社もあります。

宿泊出張の宿泊料の平均支給額(全地域一律の場合)は,部長クラス9,870円、一般社員8,723円新幹線グリーン車の利用を許可している企業は、部長クラスで19.5%(条件付きの許可を含む)有期契約社員の出張がある企業は60.3%、そのうち日当等が正社員と同じ企業が81.9%です。

海外の出張の場合

海外出張の場合、日当・宿泊料ともに相場はいくらと一概には言えません。中国や北米など各地域で相場が変わっています。理由は先に挙げた国内出張の宿泊料同様で、金額の妥当性によるものです。飛行機の利用クラスや、海外保険の内容も変わってきます。地域の物価などに合わせて企業それぞれが規定しています。

  • 日当の平均支給額(円建て企業)は、北米で部長クラス6,189円、一般社員5,080円、中国地域で部長クラス5,604円、一般社員4,603円
  • 宿泊料の平均支給額(円建て企業)は、北米で部長クラス15,950円、一般社員14,170円、中国地域で部長クラス13,780円、一般社員12,259円
  • 海外旅行傷害保険に加入している企業は79.9%。治療費の平均保険金額をみると、傷害保険は部長クラス923万円~一般社員875万円、疾病保険は部長クラス680万円~一般社員671万円
  • 航空機の利用クラスは、部長クラスで「ビジネスクラス」5.7%、「エコノミークラス」61.5%

出張手当精算の方法

出張手当の精算方法は細部は企業によって異なりますが、根本の流れは同じです。そこで今回は大まかな流れを解説します。

①出張前に申請を行う

出張前には、事前申請を行う必要があります。出張申請を事前に行うことで、精算の手順を計画的かつ円滑にでき、会社として無駄な経費を抑えることができます。実際に旅費は金額が大きくなりやすいため、事前申請で最低限の経費を決めておくことで、必要のない経費が発生することを極力減らすことができます。そのため、精算手順の効率化・経費の妥当性の担保のために、事前に申請する必要があります。

②領収書をもとに出張経費の精算

実際に出張が終わり、旅費の交通費や宿泊費などの領収書をもとに精算します。基本的に、実際に発生した費用を項目・目的・金額などを漏れなく記載し、領収書とともに提出する必要があります。必要な項目が抜けていると経理が処理できない可能性があるため、よく注意しながら進めましょう。

③上司の承認後、経理で処理

その後一度上司の承認をうけ、経理部にデータが送られます。基本的には先の申請との大きな違いはないか。理由なき額の増加はないかなどをチェックしています。そして問題がなければ、経理部が最終チェックを行い、精算処理が行われます。企業の決算日に合わせて、経理部は最終的に会計処理を行う必要があります。その際に全ての出張費精算のデータを入力する必要があるので、上司確認と経理部確認のように何重にもなって確認しなければいけません。

出張手当精算の注意点

企業側の注意点

出張手当の妥当性

出張手当はルールが明確でない分、経費の妥当性はコスト面でもルール面でも非常に重要です。手当ですが、非課税なので、ただただ多く支払うと、コスト面だけでなく、税金的にも企業倫理的にも良くありません。最悪の場合、税務調査で指摘を受ける可能性もあります。そのため、必ず手当の妥当性を担保しましょう。

出張旅費規程をしっかり設ける

出張手当の妥当性を担保するためにも、しっかりと出張旅費規定を設ける必要があります。妥当性は証明することも判断することもとても難しいため、企業の設定した出張旅費規定に促していることで、それを判断することができます。また事前にコストパフォーマンスの良い交通手段を規定しておくことで、コストも抑えることができます。

就労側の注意点

領収書やレシートを保管

精算する側は領収書やレシートを必ず保管しておきましょう。出張経費だけではないですが、経費精算は企業の収支にも関わる重要な業務です。税務調査で企業にリスクがないように、可能な限り精算する側も費用の証拠は残しておきましょう。