株を買うことによって得られるメリットは「売却益」や「株主優待」など様々ありますが、その中でも有名なものが「配当金」。保有する株式を選ぶ際に、配当金を重視する株主も多く存在します。『配当金=株主が企業からもらえるお金』という認識しかない方も、今回の記事で配当金の基本の仕組みを押さえましょう。

配当金の仕組みの基本

「株式」と「株主」の記事にてご紹介した通り、株式は、企業が製品やサービスを生み出すための資金を調達する手段として発行します。出資者は資金と引き換えに株式を得ることで株主となり、その株を発行した企業に対して、様々な権利を有することになります。

その権利のひとつに「剰余金配当請求権」があります。これは簡単に言うと、株を発行した企業の儲けの一部を、その企業の株主がもらうことができる権利です。この権利によって株主に与えられる利益を「配当金」と呼びます。

配当金の金額は、決算後に実施される株主総会(株式会社における意思決定の最高機関)にて株主の承認を得たのちに決定されます。配当金の分配は全ての株式発行企業が実施するものではなく、経営状況や方針によって配当金を配らない企業も存在します。そのため配当金を重視して株を選ぶ際には、その企業が配当金の分配を実施しているかを確認する必要があります。

また、株主の合意があれば、商品や物品などの現物支給によって利益の配当を行うことも制度上は可能です。しかし実際に行われる現物配当は、グループ企業同士が株式保有率の調整のために株式を支給するケースが多く、企業が株主に対して商品等を配当として配るケースは稀です。

企業側から見た配当金のルール

企業は、企業活動によって得た利益の一部を株主に分配しますが、その金額の1/10を利益準備金として積み立てることが会社法で定められています。
準備金とは、将来発生する可能性がある支出や損失に備えるためのものです。この積み立てルールは、準備金の合計額が資本金の1/4に達するまで適用されます。

連結会計上の配当金についてのわかりやすい解説は、以下をご覧ください。
→悪の組織の連結会計:第4話 株式会社のしくみ②(商工会議所の検定試験サイト)

配当金の金額ともらえる時期

株主の株式購入金額に対する配当金の割合は「配当利回り」と呼ばれ、企業によって異なりますが、現在の国内企業の配当利回りは平均で2%前後となっています。この割合が多ければ多いほど多額の配当金をもらうことができるため、株式購入の際の指標とされることも多い数字です。

国内企業が株主に配当金を出すタイミングは年に1,2回のケースが多く、決算日の3営業日前までに株式を所有すれば、分配金を受け取る権利を得ることができます。また決算日の2営業日前は「権利落ち日」と呼ばれ、「権利落ち日」に株式を売却しても配当金をもらうことが可能です。配当金の実際の受け取りは、決算日の2ヶ月後前後になる場合が多くなっています。