将来起こりうるリスクに備えるために加入する保険。保険といえば、個人で加入する医療保険やがん保険などを思い浮かべる人が多いかもしれません。今回は、個人ではなく企業が加入する企業保険について、その役割や、従業員から見たメリットをご紹介します。

保険の種類と企業保険について

一口に「保険」と言っても様々な種類が存在しますが、大まかに3種類に分けることができます。

■ 公的保険:国・自治体が運営する。健康保険・厚生年金・労災保険など
■ 個人保険:民間の保険会社が個人向けに運営する。生命保険・損害保険など
■ 企業保険:民間の保険会社が企業向けに運営する。生命保険・損害保険など

企業保険は、企業が経営活動における人的・物的補償に対処するために契約するものです。
公的保険にも、「労災保険」や「雇用保険」など、企業経営に関係した保険が存在しており、法律で加入が義務付けられています。

・ 労災保険:労働者が仕事・通勤時に怪我をした場合や、仕事が原因で発病・死亡した場合に、
 労働者本人や遺族を保護するために補償を給付する
・ 雇用保険:労働者が失業した場合や勤務が困難となった場合などに、生活の安定や就職支援のための給付をする

一方で、保険企業が運営する企業保険については、それぞれの企業が任意で加入します。企業保険の保険料は、企業利潤から支払われています。

企業保険の種類

企業保険は補償の対象に応じて、さらに以下の2種類に大別することができます。

■ 損害保険:企業活動から発生するリスクに対応するための保険。海上保険・火災保険・PL保険・傷害保険など
■ 生命保険:従業員への福利厚生を主目的とした保険。団体生命保険・養老保険(退職金の積立)など

損害保険は、企業活動から発生するリスクに備えるものです。トラブルが発生した際の損害賠償や、事故発生時の損失に対応しています。
例えば、店舗経営においては、販売した商品が原因となって発生する損害賠償リスクに備えるため、「PL保険」に加入する等の手段があります。
また、国の労災保険を超えた範囲で従業員の事故・怪我を補償する「労働災害補償保険」も存在します。「労働災害補償保険」は、幅広い怪我や疾病、天災、さらにパワハラ・セクハラによる損害補償に対応したものもあります。

生命保険は、勤務している従業員のために、福利厚生の一環として企業が契約する保険です。企業活動の範囲外の死亡・疾病等に備える「団体生命保険」や、節税しながら退職金を積み立てることができる「養老保険」等があります。また、企業が生命保険に加入することによって、従業員が飲食店やレジャー施設などの割引を受けられるサービスも存在します。

従業員から見た、企業保険のメリット

就業中の事故や災害に対する補償が手厚くなる

任意の企業保険に加入していない場合でも、従業員は「労災保険」や「雇用保険企業」等の公的保険によって、補償を受けることができます。しかし、企業が「災害保険」や「労働災害補償保険」などに加入することによって、従業員は公的保険以上に手厚い所得保障を受けることができます。

きめ細かい福利厚生を受けることができる

死亡・疾病に対する補償だけでなく、「養老保険」の退職金積立のような福利厚生を受けることができます。また、メンタルヘルスに対する相談サービスなどを受けられる企業保険も存在します。

就業中のトラブルに対する備えができ、安心して働くことができる

損害保険の種類は現在多岐にわたっており、様々な企業活動リスクに応じた保険があります。例えば「情報漏えい保険」は、サイバー攻撃による個人情報漏えい事故に対して、被害者への謝罪見舞金や事故後のコンサルティング費用(弁護士への相談、謝罪広告掲載など)を補償するものもあります。業務を行う上で発生する不測の自体に対して、企業が損害保険で対策をしておくことによって、従業員は安心して業務に取り組むことができます。

 
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