企業の海外進出が活発になっている昨今では、国内の企業活動では発生しない特殊なトラブルが起こる場合があります。その例のひとつに「海外現地企業との知的財産権トラブル」があります。
今回は、日本企業が海外で知財関係のトラブルに巻き込まれる経緯や、その際に発生するリスクについてご説明します。お勤めの会社が海外進出している・または検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

海外企業からの知的財産権トラブル

知的財産権(知財)とは、商品やサービスの特許やデザイン、ブランド等の知的資産を守る権利です。
海外に進出して企業活動を行う際、知財に関する法整備がなされている国では、現地企業から知財の権利侵害を訴えられる恐れがあります。また、日本企業のブランド(製品名・社名等)や特許等の知財権利を、海外の現地企業が先に取得しているケースも存在します。これにより、現地へ進出した日本企業が警告状を受けたり、訴訟を起こされる場合があります。

海外知財訴訟リスクの高まり

近年、中小企業等の海外進出増加に伴い、海外での知財訴訟の件数は、新興国を中心に増加傾向にあります。特許の外国出願を行っている中小企業のうち、海外企業から権利侵害の警告を受けた経験のある企業は5%に上ります(特許庁「平成30年度中小企業知的財産活動支援事業費補助金に係るフォローアップ調査報告書」より)。
 
係争に発展した場合、訴えを受けた企業は「損害賠償請求」「差止請求」「信用回復措置請求」「不当利得返還請求」などを求められる恐れがあります。対抗措置として司法的措置をとる場合、事実確認・証拠の収集やそれに伴う海外知財トラブルの専門家の支援、数百万円を超える高額な訴訟費用が必要になります。また、警告もなく突然訴状が届くケースも多く存在します。
 
この状況に対応できず、事業撤退を余儀なくされたり、経営難に陥るリスクが高まりつつあるのです。

海外知財訴訟費用保険制度

これらのリスクを避けるためには、海外知財訴訟に特化した企業保険への加入が有効です。
全国商工会議所の「海外知財訴訟費用保険制度」は、海外知財訴訟への円滑な対応を可能とするための制度です。
 
「海外知財訴訟費用保険制度」では、訴訟等の費用について補償を受けることができるほか、補償エリアを「全世界(日本・北朝鮮を除く)」と「アジア地域」から選択することができます。また支払限度額についても、最少500万円から最大5,000万の4種類から選択できるため、企業の海外活動規模に応じて加入することができます。
 
お勤めの会社が海外進出している・または検討している場合、このような保険加入によるリスク回避体制が取られているかどうか、ぜひ確認してみてはいかがでしょうか。
 
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