情報システムの新しい技術「クラウド」。クラウドとはいったい何なのか、企業の情報システムにとってどのようなメリットがあるのか、クラウドを導入するときに知っておきたい知識を身に付けておきましょう。
インターネットを経由して使う
「クラウド」とは、「雲」を意味する言葉です。インターネットを経由してその先にあるデータセンターにアクセスして利用する方法を「クラウドコンピューティング」といいます。システム図を描くときに、インターネットの先にあるデータセンターなどを雲の形で表すことから、「クラウド」と呼ばれるようになりました。
自社に情報システムやデータを入れたコンピュータを設置して使う従来の方法と比べて、使い勝手、安全性でメリットがあり、利用する会社が増えています。
パッケージソフトに比べて使い勝手の良さがメリット
従来のパッケージソフトは、ソフトウェアをパソコンにインストールして使う必要がありました。新たに社員が増えたり、パソコンの台数を増やしたりしたら、パッケージも買い足さなくてはなりませんでした。また、ソフトのバージョンアップに合わせて、新しいソフトを購入してバージョンアップする、データ移行するといった手間もかかりました。
クラウドでは、システムそのものもインターネットを経由して利用するので、パソコンにインストールしたり、バージョンアップしたりする必要はありません。
自動的に最新のシステムにバージョンアップしたものを使えるので、個々に対応する手間が省けます。
クラウドは安全性、データ保全性に強み
「クラウドサービスはセキュリティが低かったり、データがなくなるのではないか?」という声を聴きます。これは明確に間違いです。
実はクラウドサービスは、セキュリティや保全性、つまりシステムが止まらないようにデータがなくならないように保全する対策を堅牢な専用データセンターで管理されています。例えて言えば「データの銀行」です。通常クラウドサービスのデータセンターは、24時間365日運用監視し、攻撃者からデータを守る防御システムが働いていて、データも常にバックアップが取られているのが一般的です。
最近では「サイバー攻撃による情報漏えい」などが各種メディアで取り上げられることが多くなっていますが、その実態のほとんどが「内部のパソコンからの情報漏えい」です。つまり攻撃する方も銀行にあたるデータセンターを襲撃するよりも、セキュリティに詳しくない一般の人をだましてウィルス入りのメールを開かせたりする方が成功の確度が高いことを知っている訳です。
一方で、会社のパソコンや社内サーバにあるデータは「手提げ金庫」です。手元にある安心感はあるとしてもセキュリティや保全性は「銀行」とは比較になりません。またクラウドサービスでは「SLA(サービスレベルアグリーメント)」という一種の保証制度があることも一般的です。銀行の預金保証と同じ考え方です。
ウイルス対策ソフトは必須ですが、年々検出率が下がってきています。それだけ非常に多くの新種ウィルスが出ている、ということですので、ウィルス対策ソフトが検知できないケースも年々増え続けています。
既に大企業では、個別のパソコンの中に大切なデータを置かず、全てクラウドを活用したデータセンターに集中して管理することが一般化してきています。また、複数箇所にデータセンターを持つクラウドサービスを選べば、万一の災害にあっても多重化されたシステムによってバックアップされているので、データが消失することはないので安心です。
モバイルで外出先からも活用できる
クラウドサービスのメリットは、インターネットに接続すれば、いつでもどこからでもリアルタイムに情報システムを活用できる点です。外出先からノートパソコンから利用したり、工事現場やお店からタブレットで利用したり。システムもデータも、利用の場が広がります。
もちろん権限のないシステムやデータにアクセスできないように「認証(ログインIDとパスワードなど)」や「アクセス権管理」は大変重要です。
- 「クラウド」は、インターネットを経由して使う情報システム
- クラウドなら、インストールやバージョンアップの手間をなくなる
- 堅牢なデータセンターに守られ、データの安全性が高められる