会社の売上目標はしっかりと設定していますか?
中小企業庁作成の「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」に、売上目標を作成することのメリットとポイントがまとめられていたのでご紹介します。

以下、中小企業庁「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」より抜粋
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2016/160510kaikei.htm

売上目標

売上は、商売の中心となりますが、売上目標を持たずに経営を行っている中小企業が意外に多いようです。目標を持たなければ、日々同じことを繰り返すことになりがちです。日々変化するお客様のニーズ等にいち早く対応していくことが、会社が生き残っていくための条件といえます。
売上の目標を立て(P)、実行し(D)、チェックし(C)、改善(A)を繰り返すことで、会社は成長します。

売上目標を作成するメリット

1 夢の実現の第一歩

経営者には誰しも思い描く夢があるはずです。5年後、10年後はこんな会社にしたいという夢や漠然とした思いです。夢を実現するためには、将来から逆算し、今何をすべきかを考えなくてはいけません。売上目標と行うべきことを考え、紙に書いてみることが、夢を実現する第一歩になるでしょう。

2 将来を変えるきっかけ

売上目標を持つことで、実現するための具体的な取り組みを考えることができます。例えば、A社の子会社とも取引ができれば、売上は2倍になる、しかし、今の仕入先では数量的に対応できない、不足する商品をどこから仕入れようか・・・など、いろいろなことが思い浮かびます。目標を持つことで、将来を変えていくきっかけができるのです。

3 新しいこと、困難なことにチャレンジ

売上目標を持つことで、現状以上の取り組みと成果が求められます。目標を社員と共有することにより、各々の段階で新しい取り組みが始まります。また、これまで上手くいかなかったことについても工夫が生まれます。

実施のポイント

1 目標額をどのように決めるのか

先ず、1年間の目標売上高を決めます。そして、目標売上高を達成するために必要な原価と経費を考え、想定利益を組み立てます。初めて作る場合は、概算でも構いません。目標売上高が決まった後は、商品(群)、得意先、担当者毎に割り振ります。
次は、この商品(群)別、得意先別、担当者別売上を月別に展開します。こうすると、月毎の売上の変化や、各月での実現可能性が見えてきます。年間の大きな売上ではなく、月割りにすることで現実的な目標として集中力を切らさずに取り組むことができるのです。大事なことは精度ではなく、売上目標を持ち、達成するために努力することです。

2 目標額を決めたら重点方針を決める

毎月の売上高を達成するための方針(=考え方)を決めましょう。法人企業であれば法人税申告書の事業概況書に毎月の売上高が計上されており、個人事業では所得税申告の際に月別の売上が計上されています。
こうした過去の月別売上を参考にすることも有効です。重点商品や重点顧客、販売の中心となる価格帯、具体的な販売促進方法などを絞り込んで考えます。
例えば、
 1) どのお客様を狙うのか(市場の選択)
 2) どの商品に力をいれて販売していくか(重点商品の決定)
 3) どれくらいの価格帯で勝負するのか(価格の決定)
 4) どのような販売方法で勝負するのか(販売促進方法) などです。
重点方針として、やるべきことを絞り込むことで、経営資源の乏しい中小企業でも集中の効果を生み出すことができるようになります。

3 実績を把握し、分析する。

日次、週次の実績を把握することが大切です。できれば得意先別や商品別に把握します(地域や担当者という切り口もあるでしょう)。
大事なことは、得意先や商品の売上高を数字化し、毎日観察することです。観察を続けると変化が見えてきます。手を打てば数字が動き、対策を変えるとどのように数字が変化するか見えてきます。売上の変化と原因を考えることで、さらなる売上向上や、回復の具体策を検討することができます。
このように、売上目標と重点方針(計画(PLAN))を立て、実行(DO)し、それをチェック(CHECK)し、差異があれば内容を調査分析し、迅速にアクション(ACTION)を起こす。このPDCAサイクルを回す習慣が、足腰の強い会社をつくります。

参考

詳しくは中小企業庁のページをご参考ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2016/160510kaikei.htm