在庫管理はしっかり行なっていますか?
中小企業庁作成の「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」に、在庫管理のメリットとポイントがまとめられていたのでご紹介します。

以下、中小企業庁「『経営力向上』のヒント~中小企業のための『会計』活用の手引き~」より抜粋
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2016/160510kaikei.htm

在庫管理

経営において、意外に盲点となるのは在庫の管理です。商品を造るためには材料が必要であり、販売するためには商品が必要です。だから、ある程度在庫を持つことは仕方がない…。一円の支出にこだわる経営者も、在庫の保有は「仕方ない」の一言で済ませているのではないでしょうか。
在庫管理とは、いくらで購入した材料・商品をどれだけ持っているのかを常に把握することです。在庫管理をしっかり行うことで、着実に利益を生み出すことができます。

在庫管理のメリット

1 資金管理が楽になる

在庫とは、仕入先から購入した材料や商品を製造や販売に備え、倉庫や店頭に並べている状態をいいます。
ここでのポイントは、在庫の購入に「代金を支払っている」ということです。商品の販売代金で在庫を購入することができれば、資金繰り上、問題は生じませんが、実際は、在庫代金の支払が先行します。このため、在庫の管理をしっかり行うことで資金繰りが楽になります。

2 市場の動向が見えてくる

経営者の勘やこだわりで商品を仕入れたり、何年も前に仕入れた在庫品に埃がかかっていたりすることはありませんか。
在庫の管理とは、「名称と数量と単価、さらには合計数量・合計金額(在高・残高)」を一覧表にして把握することです。一覧表を定期的に見直し、分析を行うことで、一番売れている商品がわかるだけでなく、流行遅れになった商品や、季節による売上の変化、商品毎の滞留期間、など市場の動向が見えるようになってきます。これを次の仕入に活かすことで、無駄な仕入がなくなります。

3 正確な決算書を作ることができる

返品や搬送中の毀損、廃棄処分などによっても在庫は増減するため、実際の在庫と帳簿上の在庫は徐々にズレが出てきます。これを定期的に突き合わせる仕組みが棚卸です。
棚卸は面倒な作業ですが、在庫の残高が分かることにより、正確な利益計算を行い、正確な決算書を作ることができます。
正確な決算書は、金融機関や取引先の信用を増すことに繋がります。

実施のポイント

1 電卓に見切りをつけましょう

「モノが入り、モノが出て行く」在庫管理の基本は在庫の入庫・出庫(入荷・出荷)の「数」と「金額」を記録することです。在庫管理する対象を決め、在庫受払帳を記帳しましょう。そして、いかに電卓の名手であっても、在庫管理を電卓で行うことは労力と時間がかかります。市販の在庫管理ソフトを活用して、在庫の品目ごとに、数量、単価の増減を入力しましょう。移動のたびにデータを入力する手間がかかりますが、「な
ぜこの商品・材料をこんなに発注したのだろうか」、「どうやったらこの在庫を販売できるだろうか」と考える習慣がつきます。考える習慣は、行動する習慣に繋がります。

2 業種別の取り組み

小売業、卸売業では、売れ筋商品の在庫を切らさないことが、売上を維持・向上させる秘訣となります。そのため、在庫管理と販売管理(誰に、何が、いくつ、いくらで売れたのか)を一体で行うことが大切です。
売れ筋商品をつかむことに加えて、商品毎の粗利益や得意先毎の粗利益を集計したり、在庫の回転日数を計算したりすることで、売上・粗利益・資金の状態を把握することができます。これを繰り返すことで、発注方法や商品毎の適正在庫量などのルール化が進み、売れ筋商品を切らさない営業が可能となります。
製造業、建築業では、材料・完成品の在庫管理だけではなく、製造途中・建築途中の状態にある在庫(仕掛品)の管理も求められます。特に、決算ではこの仕掛品が期間損益に大きな影響を与えます。仕掛品を管理するためには、どれだけの材料を費やしたのかということに加え、どれぐらいの労力を費やしたのかという情報も不可欠です。そのためには業務日報のような仕事の進み具合や費やした労力(人数と時間)を測定する仕組みを準備する必要があります。

基準を決めて処分(値引き、転売、廃棄など)を早く決定する

使えない材料や販売できない商品は、持ち続けていても倉庫費用や管理の手間がかさみます。更に時間が立つほど傷みや陳腐化などのリスクが増え、お金が出て行く要因にしかなりません。例えば、「仕入後3〜6ヶ月在庫として残っているものは、不良在庫化しつつある在庫」と基準を決め、販売の促進、可能なら返品を行います。同じように「6〜12ヶ月残っている在庫は不良在庫」と決め、廉価販売や返品、同業者に転売します。最後に「12ヶ月以上残っている在庫は廃棄在庫」として、思い切った廃棄処分等を行います。在庫の処分を区分や基準を決め、早く実行することは資金繰りの安定につながります。

参考

詳しくは中小企業庁のページをご参考ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/2016/160510kaikei.htm