ERPとは、エンタープライズ・リソース・プランニングの略称。日本語に訳すと、『経営資産計画』となります。しかし、このままだとあまり本質を説明しきれていないことから、日本では統合基幹業務システムと呼称されています。ERPは、統合基幹業務システムの名が示す通り、「会社内の業務システムを、統合して管理することができる」もの。かつて大企業向けであったERPは、現在は多くの種類が開発され、中小企業でも採用できるものとなっています。実は性能を考えると、中小企業にこそ必要なシステムなのです。

ERPとはどんなサービスか

ERP最大の特徴は、全部署のデータ管理を一元的に行える点です。現在まで業務アプリケーションは多種多様なものが制作され、部署ごとにそれぞれ異なるアプリケーションを利用していました。部署ごとに必要な機能が異なるために当然のことではありますが、しかしアプリケーションが異なるとデータの形式なども異なるため、情報の共有が難しい環境でもあったのです。そこで作られたのがERP。従来は異なっていたシステムを、基幹となる業務システムを作りそこに統合することで、データの管理や共有が一元的かつ多角的に行えるようになりました。また、もう一つの大きな特徴に、会社内に存在するリソースをまとめて管理できるという点があります。ERPを導入した場合、異なるシステムで管理していたために、部署ごとでしか把握できず、会社内でばらばらに存在していた人やモノ、資金といった会社の資産を、リアルタイムでまとめることができるようになり、より効率的な会社運営が可能になるのです。

オンプレミス式

会社が自分でソフトやハードを準備し、自社専用として開発・運営しているERPシステムを言います。メリットとして、その会社専用であるために、必要なシステム構築や、会社に併せた運営が可能です。デメリットとしては、初期費用や維持管理を会社で負担しなければならないという点があります。

クラウド式

自社専用に作るオンプレミス式に対し、システムをネットワークを介して利用するのがクラウド式です。クラウド式にも、自社の構築システムをクラウド化するIaaS型と、クラウド化されたアプリケーションを利用するSaaS型の2種類があり、必要によって選ぶことができます。メリットとして、①SaaS型はすでにシステムが作られているため、自社で開発する必要がない②ネットワークにつなげられればどこでも使える③クラウド上で構築されているため、システムが負担にならない④バージョンアップやカスタマイズも可能などがあります。デメリットとしては、①ネットワーク上にある以上、セキュリティ対策が必要②ネット環境が必須などが挙げられます。

中小企業がERPを導入するメリット

メリット1:業務効率化

ERPを導入することで会社内の資産をまとめて運用することができます。部署ごとの連携も容易になるため、部署ごとによるデータの相違や二重入力、データ作成効率の悪化を防ぎ、より正確なデータベースが実現できます。またリソースがリアルタイムで常に把握できている状態になるため、そのリソースをもとに可能か否かを即座に判断することができるようになります。そのため、企画や機会に対し積極的な判断が可能です。

メリット2:完全自社制作よりは低コストで導入可能

ERPにも導入コストはかかりますが、クラウド型は開発・運営・保守を委託している状態です。コストは安くありませんが、オンプレミス式のERPの準備、開発、維持運営の費用と比べれば、低コスト・低負担で導入可能です。

メリット3:種類が豊富で、会社に合ったソフトを選べる

現在、クラウド式ERPは多くの企業が運営しており、会社に合ったものを選ぶことができます。また、ERPパッケージを丸ごと買わなければいけないわけではなく、必要な機能だけを選ぶことも可能なため、柔軟な利用が可能です。

中小企業がERPを導入するデメリット

デメリット1:コストがかかる

導入した際のメリットはかなり大きいですが、導入時のコストは決して無視できるものではありません。オンプレミス式よりは安価で済むクラウド式ERPですが、それでも初期費用やライセンス料などが必要で、利用料も支払い続ける必要があります。さらに、ERPは利用ユーザーに対して費用が比例していくため、社員が多いほどにコストがかかります。
加えてネットワークも必要になるので、社員にWi-Fiを支給するなど、常にネットワーク接続できるようにさせておかなければいけません。

デメリット2:利用において、社員等への周知が必要

ERPはデータがひとまとめになるために、関わる社員が増える場合が多いです。そんな中で、もし一人の社員がデータ入力をミスしてしまうと、そのデータが他のデータに影響を及ぼすために、間違ったデータが大量に出現します。これを修正するためには、間違い元を訂正するほかありません。ERP導入の際には、社員に対して十分な説明と管理をしておかなければ、ERPで確認するデータが現実のものと乖離する状態が生起してしまうことを、特に注意してください

中小企業ERPソフトのサービスを比較する時のポイント

ポイント1:導入の目的を明確にする

クラウド式ERPは、近年高まり続ける需要に応じて様々な種類が開発されており、それぞれが異なる特性を持っています。そのため、ERP導入の際には、会社に適したERPサービスを見つける必要があります。○○のために使うという目的を持ち、導入してから達成したい目標を立てておかなければ、導入しても効果がありません。逆にそれさえ決まっていれば、多くのERPの中から重視するポイントを持つことができ、調べる際の重要な手掛かりになります。

ポイント2:機能が自社にマッチしているか

多機能な製品が、自社に最適な製品とは限りません。使用しない機能があることで、無駄なコストが発生するだけでなくシステムの煩雑さを生んでしまうことになります。また、業種や業態、会社の規模によっても必要な機能は異なります。自社の必要な機能がパッケージングされているものか、十分に確認し選ぶことが大切です。無料お試し期間を設けているサービスもありますので、事前にシステムに触れてみることをおすすめします。

中小企業向けERPソフトの比較

スマイルワークス

サービスの特徴

・シンプルで使いやすい
・一連の販売管理業務を網羅している
・外出先での受注登録・在庫検索・見積もりが可能

料金

月額9,000円〜45,000円(初期費用10,000円〜50,00円)
※使用する機能に合わせて、段階的に選択が可能

こんな会社におすすめ

・特に販売管理に力を入れたい会社
・在庫の所有が多い会社

運営会社

株式会社スマイルワークス

webサイト

https://www.smile-works.co.jp/functions/hanbai

NetSuite

サービスの特徴

・ビジネスの状況を把握、経理業務の効率化が実現できる
・業界ごとのベストプラクティス設定済みで、世界16,000社実績のエッセンスが手に入る
・グリーバル対応(24時間365、日本語サポート有り)
・運用トレーニング体制完備なので体系立てて学びたい人におすすめ

料金

月額200,000円〜(初期導入費用込み)

こんな会社におすすめ

・グローバルビジネスを展開している会社
・充実したサポートを求める会社

運営会社

日本オラクル株式会社

webサイト

https://www.clouderp.jp/netsuite-suitesuccess

クラウドERP freee

サービスの特徴

・経理・財務の一元化と人事労務管理の一元化を実現できる
・AIによる商取引の仕分け機能や購買申請から仕訳までの一元化など、特に会計に強い機能を持っている

料金

会計エンターズプライスプラン(業務プロセスの最適化):問い合わせ
会計プロフェッショナルプラン(財務データ活用):基本料金 47,460円/月

こんな会社におすすめ

・実績重視でシェアが高く信頼できるソフトを導入したい会社
・経理業務を最適化し、効率化をはかりたいと考えている会社

運営会社

freee株式会社

webサイト

https://www.freee.co.jp/cloud-erp/

MJS

サービスの特徴

・フレキシブルなサポート対応で、税制や法改正時にもスムーズな対応可能
・抜群の操作性で、教育の必要なく使用可能
・導入支援・運用支援から、スキルアップや情報提供サービスまで、すべてに対応するワンストップサービス

MJSLINK NX-Plus
・財務を中心に、様々な業務にシームレスに対応
・利用ユーザーごとに利用システム提供
・高度なマネジメント機能も搭載、経営分析資料や異常アラートも完備

Galileopt NX-Plus
・多彩なフロントオフィス支援機能を搭載し、従業員の役割ごとに、最適化された情報の入力・配信・共有を可能
・承認ルート設定や予算閾値設定が可能、より高い柔軟性を実現

料金

要問合せ

こんな会社におすすめ

・社員に沿ったERPを求めている会社
・信頼度が高く、安心できるERPが欲しい会社

運営会社

株式会社ミロク情報サービス

webサイト

https://www.mjs.co.jp/feature/erpsolution/

アクセンチュア

サービスの特徴

・小売業向けのERPテンプレートを提供
・業務プロセスと情報基盤を整備 、営資源の最適化を実現
・効率的な業務遂行ノウハウとともに、最適な設定が施されたシステムをそのままコピーして構築を開始するため、効果の高い経営戦略を展開可能
・30年以上SAP社との パートナーシップを構築しているからこその独自アプローチが可能

料金

問い合わせ

こんな会社におすすめ

・小売業の会社
・質の高いコンサルティングが欲しい会社

運営会社

アクセンチュア株式会社

webサイト

https://www.accenture.com/jp-ja/service-sap-erp-solutions

ZAC

サービスの特徴

・業務管理を中心に、管理会計や経営モニタリングを完備
・経営と業務の 全てを効率化でき、プロジェクト収支・工程管理から管理会計レポート、業務管理まで把握できる

料金

問い合わせ

こんな会社におすすめ

・プロジェクトごとの収支を把握したい会社
・多機能性を求めている会社

運営会社

株式会社オロ

webサイト

https://www.oro.com/zac/

SAP

サービスの特徴

・財務人事、サプライチェーンの購買や調達、CRM プロジェクト管理など、各分野で機能を完備
・製造業では、在庫の可視化や製造オペレーションの自動化が可能
・流通卸では、入荷から納品までリアルタイムに把握し、処理の効率化が可能
・カスタマイズが簡単でメンテナンスが容易、プロフェッショナルサービスでは自社に合った最新のシステムを導入できる

料金

月額400,000円〜

こんな会社におすすめ

・製造や卸流通の会社
・多数の問題が解決できる機能を求めている

運営会社

SAPジャパン株式会社

webサイト

https://www.sapjp.com/erp/