「投資」といえば、株式投資や投資信託といった昔から存在する投資手法もありますが、現在はクラウドファンディングという新しい投資手法が広がりつつあります。クラウドファンディングは最近出てきた投資の仕組みであり、規模が大きい案件にも投資ができることから注目を集めています。また、1万円など少額投資ができるため、社会人だけではなく、学生でも気軽に投資が可能です。それぞれの投資手法と組み合わせながら運用していくためには、クラウドファンディングの性質をつかむことが大切です。投資概要からメリット・デメリットまで横断的に特徴を理解していきましょう。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、インターネット上で投資を募りたい案件の詳細を説明し、資金を調達する投資の仕組みです。クラウドファンディングを大きく分けると下記5分類になります。

寄付型クラウドファンディング

寄付型クラウドファンディングは、配当などのリターンを求めず、インターネット上で公開された案件に対して、資金だけを提供する募金のような役割となります。あくまで募金になるため、寄付をした人は確定申告の際に寄付金控除を受けることができます。金銭を増やすことが目的ではなく、魅力的なプロジェクトを応援できることに価値を見出している仕組みと言えるでしょう。

代表的な寄付型クラウドファンディングサイト
・Readyfor Charity(https://readyfor.jp/charity/
購入型クラウドファンディングサイトとして有名なReadyforが、寄付型のクラウドファンディングを開始しました。案件としては動物園によるニホンライチョウの保護や歴史的な建造物の保護などが多額の資金調達を実現しています。

購入型クラウドファンディング

事業者が実現したいアイデアや構想をインターネット上に公開し、その製品やサービスを購入したい人が資金を提供します。Amazonなどの通販サイトで商品を購入するような感覚で参加することができます。提供資金が目標額を超えれば、アイデアや構想の実現化して、事業者は資金を提供した人へ製品やサービスを届けます。

代表的な購入型クラウドファンディングサイト
・Makuake(https://www.makuake.com/
日本最大級の購入型クラウドファンディングサイトです。他企業との提携も意欲的に取り組んでおり、2018年9月には、Makuakeで実現した製品の一部を東急ハンズ渋谷店で直接購入することも可能となりました。

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)

融資型クラウドファンディングは、融資を受けたい事業者が案件をインターネット上に登録し、小さい単位で投資家から集めた資金を事業者へ融資する仕組みです。投資家は、一定期間に利息を得ることを目的とします。事業者は資金を調達することができますが、最終的には資金を返済する必要があります。

代表的な融資型クラウドファンディングサイト
・クラウドバンク(https://crowdbank.jp/
日本クラウド証券という証券会社が運営する融資型のクラウドファンディングサイトです。2018年10月現在、融資型クラウドファンディングのシェアNo.1となっております。目標利回りが6%を超えるものが多く、銀行預金よりもはるかに大きなリターンを得ることが可能です。

ファンド投資型クラウドファンディング

ファンド投資型クラウドファンディングは、事業への投資を行うために1口1万円から資金を集める仕組みのことを指します。事業への投資であるため、元本+投資利回りの獲得を目指します。

代表的なファンド投資型クラウドファンディングサイト
・TATERU Funding(https://www.tateru-funding.jp/
数千万単位で資金が必要な不動産投資を身近なものとするために、ファンド投資型クラウドファンディングの仕組みを活用しています。投資家は、1口1万円という少額から投資することができるため、大きなリスクを背負うことなく、有望な不動産ファンドへ投資をすることが可能です。

株式投資型クラウドファンディング

株式投資型クラウドファンディングは、非上場の株式を細分化し、少額から株式を取得することができます。これまでベンチャー企業の株式は、ベンチャーキャピタルを筆頭とした有力投資家しか取得することができませんでした。それが今回の仕組みを活用することにより、将来の大きな成長性を期待した投資を行うことが可能となりました。

代表的な株式投資型クラウドファンディングサイト
・FUNDINNO(https://fundinno.com
IT分野を中心としながら、幅広いジャンルの業務を担っているベンチャー企業へ投資をすることが可能です。累計成約件数は40件と増加傾向にあり、魅力的な事業内容が並んでいます。

2.投資商品全体におけるクラウドファンディングの立ち位置

投資商品は、大きく下記2分類に分けることができます。クラウドファンディングも分類ごとに記載します。

①ハイリスク、ハイリターン

株式投資、外貨預金、ビットコイン、融資型、ファンド投資型、株式投資型

②ローリスク、ローリターン

定期預金、公共債、保険・個人年金、投資信託、購入型、

クラウドファンディングはすべてハイリスク、ハイリターンというわけではありません。購入型は製品やサービスの提供を前提に資金調達をしているケースが多く、かなりの確率で対価を得ることが可能です。
一方、融資型・ファンド投資型・株式投資型は、利率が他の投資手法より高めに設定されている分、資金を回収できない、企業がなかなか成長しないなどリスクも多く抱えています。どこまでリスクを許容することができるかが、投資の大きな鍵となるでしょう。

3.クラウドファンディングのデメリット

クラウドファンディングはメリットが多くありますが、これまでには無かったデメリットも多く存在します。クラウドファンディングに投資をすれば全てうまくいくというわけではありません。ファンド投資型では事業悪化により分配金の減少の可能性があり、株式投資型では株式上場やM&Aによる売却などが行われない限り、すぐに株式を換金することはできません。それぞれの投資特性を理解し、デメリットを許容できるよう準備をしておく必要があります。

4.クラウドファンディングの始め方

ここまでクラウドファンディングを紹介してきましたが、実際に実行してみたいという方もいるでしょう。今回は融資型を例に出して、投資の始め方の概要を解説します。

口座開設までの流れ

口座開設には複雑な申請は不要です。まずWebに公開されている口座開設フォームから、自分の情報を入力していきます。そして本人確認書類を提出し、事業者による審査に通ればOKです。

投資を行う際の注意点

新たな投資手法となるため、注意すべきポイントも変わってきます。テーマや利回り、運用期間はそれぞれの案件によって変動します。興味があるテーマなのか、利回り相応のリスクを許容できるか、運用期間は長すぎないか、という点がチェックポイントとなります。

5.まとめ

クラウドファンディングの5分類を中心に、概要と特徴、注意点などを解説してきました。クラウドファンディングは規模の大きな投資案件にも少額で参加可能ですが、分類によってはリスクも大きい性質があります。投資手法の特徴を考慮しながら投資を行うことが大切です。