会社が事業を拡大するには、「ヒト・モノ・カネ」と言われる経営資源を増やすことが必要になります。中でも「ヒト」は、会社が業績を伸ばし、成長するためには欠かせない財産です。社員を採用したり、管理したりする仕事を担うのが「人事部」です。

人事部の業務の内容

会社の事業がうまくいき、業績が伸びてくると、それに応じて仕事の量も増えてきます。増えた仕事を行っていくには、人を増やしたり、配置を検討したりすることが必要になります。このような人に関する管理をするのが人事部の役目です。人事部が行う主な業務は、次の通りです。

1.採用
新しく会社に人を雇い入れるための仕事が採用です。採用募集をして試験や面接を実施し、合格した人に通知します。
採用の形態には、「新卒採用」と「中途採用」の2種類があります。「新卒採用」は、当年度の卒業予定者を募集して新年度の4月から採用します。「中途採用」は、時期を問わず、必要なときに新たに人を雇うことで、即戦力になる経験者が必要な場合に行われます。
そのほか、アルバイトやパートの採用、短期的に派遣会社から専門スタッフを派遣してもらう派遣スタッフの手配も行います。

2.入社、退社手続き
新しく従業員が入社すると、様々な手続きが必要になります。例えばどの部署に配置するのかを決め、関連部署に通達して準備を進めてもらいます。そのほか、健康保険や厚生年金、雇用保険の加入手続きや所得税や住民税など、外部の機関に対しての手続きが必要になります。マイナンバーの管理についても、ルールに従って管理しなくてはなりません。
退職をする人がいるときは、同様に各種の手続きを行います。

3.出退勤管理
出社と退社の記録をし、働いた時間を集計します。遅刻、早退、欠勤があった場合は、それらも記録し、月ごとに集計します。以前は「タイムカード」と呼ばれるカードに記録するタイムレコーダーが多く使われていましたが、現在は社員証にICを埋め込んだICカードを使い、記録と集計が出来る勤怠管理システムを使う会社が増えています。

4.給与・賞与の計算
出退勤管理で集計したテータを元に計算して、経理部門に支払の指示を出します。

5.人事評価
給与や所与の金額を決めるための人事評価を行います。基本的な評価は直属の上司が行いますが、評価方法を検討し、最終的な評価にまとめる仕事は人事部が行います。

6.異動、昇格、降格、懲罰
他部署への異動、昇格や降格、社内規定に違反した場合の懲罰などを管轄するのも人事部です。大企業では昇進試験や資格制度を実施している場合があり、それらも担当します。

7.教育
社員の教育を計画し、実施します。新卒採用された新入社員には、社会人としての一般的な教育から始まり、会社の事業の理解、技術の習得など、カリキュラムを組んで実施します。中途採用の人には、必要に応じて教育を実施します。
そのほか、社員の知識や技術を高めるための各種の人材教育を計画します。

「人事部」の業務

業務内容の図と人事部のサラリーマンのイラスト

ネットを使った求人やマッチング、人事管理システムとセキュリティー

現在では、求人や応募の受付にインターネットとシステムを活用するようになってきています。自分の希望や経験にあった仕事のマッチングサービスもあります。
また、人事管理についても社員の様々な情報をデジタル化し、人事管理システムで活用すうようになりつつあります。
一方で、社員の個人情報を扱う人事部では、セキュリティーへの配慮や意識がより重要になっています。データの管理や正しい取扱の知識も求められます。

多様な働き方の実現へ

競争力の高い組織を作っていくには、組織に多様性があることが重要だと言われています。同じようなタイプの人が集まるのではなく、多様な人々が共に働く環境を作っていくのもこれからの人事部の仕事だといえるでしょう。
外国人のメンバーが働きやすい環境づくりや、ITを活用した仕事のやり方の変革、育児や介護をしている人が離職せずに働けるようなワークライフバランスの実現など、多様な働き方を多面的に支えていくことも人事部の仕事です。

社員の働き方を多面的にサポート

外国人メンバー・IT活用しているサラリーマン・子育てしながら働く女性のイラスト"