会社のお金と財産を管理するのが、「財務部」の役目です。経理部と呼ばれることもあります。事業を行い、利益を増やしていくためには、お金の管理が重要になります。財務部がどのようにお金の管理をするのか、業務内容を理解しておきましょう。
財務部の業務の内容
会社の目的は事業を行って利益を得ることですから、すべて金額に換算して考えることができます。たとえば営業部や販売部によって商品を売れたら、そこから売上金額が発生します。もっと売るために原材料や部品を買えば、仕入金額が必要になります。売上金額によって会社のお金が増え、仕入をすることで会社のお金が減ります。
また、会社の従業員には、給与が支払われます。仕事を給与の金額に換算しているわけです。業績に応じた賞与も金額に換算されます。
財務部や経理部が行う重要な仕事のひとつは、このようなお金の動きを管理することです。主な業務は、次の通りです。
1.入金・出金管理
会社にお金が入ることを「入金」、お金が出て行くことを「出金」と呼びます。一般的に会社間の取引では、「信用取引」と呼ぶ方法を行っています。商品を売った時すぐにお金を貰わず、月末などにまとめて請求書を発行し、後から入金されます。このように物の動きとお金の動きとに、時間的なズレが発生します。
原材料や部品を仕入れるときも、品物を受け取ってから支払いまでに時間のズレがありいす。従って、いつ、いくら入ってくるのか、いくら支払うのか、入金と出金のタイミングと金額を正確に管理することが重要になります。
2.資金繰り管理
「資金繰り」とは、入金と出金を把握し、会社のお金をやり繰りすることです。会社間の取引では、支払時期などの条件が異なる場合があります。入金が遅れたり、入金されなかったりすると、お金が足りなくなる資金ショートと呼ばれる事態が発生し、時には倒産につながります。
資金繰りで重要なのは、信用取引による物の動きとお金の動きのズレを把握し、資金ショートがおきないようにすることです。
3.資産管理
会社の資産には、お金以外のものもあります。たとえば、自社でビルや工場を所有していれば、それらは会社の資産です。社用車やコンピューター、各種の機器も会社の資産になります。
どのような資産があって、お金に換算するとどれくらいの価値があるのかを管理することも財務部の仕事です。機器や設備は、古くなると価値が下がります。そのため「減価償却」と呼ぶ、価値を下げていく処理が毎年必要になります。これは法律によって定められていますので、ルールに従って正しく行います。
4.決算処理
会社は、毎年一回、「決算」を行います。決算とは、その会社の1年間の動きをすべて金額に換算し、最終的に利益が出たのか出なかったのかを集計し、各種の報告書を作成する作業です。いわば会社の成績表を作り、出資者に業績を報告する重要な仕事です。
ネットやシステムを活用して効率的かつ効果的に
財務部の仕事は、正確さが求められます。また、月次処理や決算処理など、決まった時期に行わなければならない仕事が多くあります。こうした仕事を正確かつ効率的に処理するための道具が、コンピューターとシステムです。経理や財務の仕事に合わせた各種の業務ソフトウェアが活用されています。たとえば会計ソフトでは、日々のお金の動きを入力して、入出金を管理し、必要な各種の書類を作成できます。給与計算ソフトでは、給与計算を行い、明細表などの帳票を印刷できます。
財務関連の業務を効率化するインターネットの活用も進んでいます。決算処理をした内容を税務署へ申告するには、インターネット使って行う「電子申告」が利用できます。また、インターネットを介して銀行口座の入金や残高を確認したり、振込処理をしたりできる「インターネットバンキング」も普及しています。
会社のお金の動きや支払のタイミングを把握し、資金繰りを行うためにも会計や財務管理システムの活用が競争力を高めます。経営を支援するためのツールとしても、各種の業務システムが活用されています。