一般的に企業では、従業員や関係者が分担して業務を進めていきます。仕事を進める流れである「業務プロセス」に着目して、業務を理解していきましょう。

業務間で連携し、仕事を進める

企業は事業を行って利益を出すことを目的とした組織です。利益を出すために、組織に属している人々は様々な仕事をします。会社の仕事のことを、一般的に「業務」と呼んでいます。そして仕事の流れを「業務プロセス」といいます。

会社の目的は利益の追求ですから、それぞれの業務の中身は違っても目的は一致しています。目的を達成するために作業を分担しているため、業務間に関連性があります。それが仕事の流れ、「業務プロセス」です。

「作る」、「売る」の業務プロセス

業務プロセスを、「作る」、「売る」のシンプルな例で考えてみましょう。作る、売る、2つの仕事には、相互に依存関係があります。たとえば、ある販売員が商品を売りたいと思っても、売る商品がなかったら、いくらがんばっても売れません。売る前にまず商品を作らなくてはならないわけです。
特注品であれば注文を受けて、作ってから売ることになりますが、サンプル品を見せて「このようなものが作れますよ」と説明したり、アピールしたりすることが必要でしょう。つまり、作ってから売ることになります。
「作る」、「売る」は、会社にとって最も単純で最も基本的な業務です。しかし、現実の会社では、これだけの業務では成り立ちません。その他の多様な業務があり、「作る」、「売る」を効率よく進めていきます。なお、「作る」業務は「製造」、「売る」業務は「営業・販売」と呼ばれています。

「業務」プロセスは仕事の流れ

電子機器扱っている作業員とスマホを売る女性販売員のイラスト

会社の仕事を支えるその他の業務

製造と営業・販売以外の業務を考えていきましょう。品物を作るためには素材や部材などの材料を仕入れなければなりません。その仕事は製造と密接に関係していますが,製造そのものではないため分けています。その業務を「購買」といいます。
品物ができたら売りますが、闇雲に販売員が動き回っても効率よく売れません。そこで商品をアピールし購買対象となる人の購買意欲を高める必要が出てきます。カタログを作ったり、雑誌やテレビに広告を出したりします。最近なら、ウェブでの広告も増えています。このような仕事は直接販売を行うわけではなく、販売を支援するという意味の「販売促進」、略して「販促」と呼ばれます。

材料を仕入れる、カタログを作る、広告を出すなどの仕事を行うには、お金が必要になります。商品が売れれば、会社にお金が入ってきます。どのくらいお金が会社から出て、入ってくるのか管理する仕事が発生します。利益が出ているのかを計算し、記録することも必要です。こうした業務は「財務」または「経理」と呼ばれます。
作業を分担して進めていくには、それだけ人を雇わなければなりません。会社で働く人を募集して採用したり、採用した人を教育したりする仕事が必要になります。この業務は「人事」と呼ばれます。
人々が働くためには、働く場所も必要です。商品を作るなら工場が、お金や人の管理をするなら事務所が使われます。場所だけでなく、設備や機械、事務机や椅子、書類棚、社用車といった備品も必要になります。そのような働く環境を整える業務を担当するのが、「総務」です。
会社にとって、ひとつの商品がいつまでも売れればそれに越したことはありません。しかし、ほとんどの商品には寿命があります。現行商品の寿命が尽きる前に、次の新しい商品を売り出さなければ、利益が出せず、会社を存続することはできません。そのために新しい商品を作り出すことが、非常に重要になります。この業務は「研究」や「開発」と呼ばれます。

多様な業務が関連しあって仕事を支える

このように様々な業務が関連して、会社全体を支えています。それぞれの業務を効率的に行うだけでなく、全体の業務プロセスを最適にすることが重要です。