形にない、あるいは目に見えない「サービス」を提供する「サービス業」は、多種多様に存在することが特徴です。ネット社会が進展し、新たなサービスやビジネスモデルも登場しています。

設備が必要なサービスと不要なサービス

「サービス業」のサービスとは、役務や知識、情報といった形のない無形財を販売する業種です。
日本では「サービス」の言葉には、「無料」や「値引き」といったイメージがありますが、本来の意味とは異なっています。英語の「service(サービス)」は、「serve(サーブ)」という動詞からきおり、「給仕する、仕える、勤務する」という意味をもっています。目に見えない価値を提供し、その対価を得ることがサービス業の仕事です。

人が活動したり、生活したりする際に、さまざまな価値を提供する多様なサービス業が存在します。農業や漁業、建設や製造、物販でない業種は、サービス業であるともいえます。
業種を分類している総務省の「日本標準産業分類」でも、情報通信業、運輸業・郵便業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス業、その他サービス業などの多様な業種に分かれています。

サービス業は、形態から次の2つに大別されます。

1.設備が必要なもの
ホテル、映画館、テーマパークなどが代表例です。設備の利用を含めて価値を提供していますから、設備がなくてはビジネスが成り立ちません。パソコンのスキルを教えたり、資格を取得したりするための試験を提供している教育サービスも設備が必要なサービス業のひとつです。

2.設備が不要なもの
役務や知識、情報を提供することが目的のビジネスです。弁護士、会計士、各種のコンサルタントなどが該当します。医師、カウンセラーなども含まれます。

サービス業の形態

PCをする女性二人と前に立つスーツを着た男性のイラスト・カウンセリングをする様子のイラスト

近年ではネットの普及により、宿泊先や移動手段を求めている人に、空いている部屋や自動車を提供したい人をマッチングする、「シェアサービス」のような新しいビジネスモデルも登場しています。
また、製造業がIoT(モノのインターネット)によってデータを活用したものづくりに変わる中で、モノだけでなくサービスを含めた価値を提供するビジネスの変革も進み始めています。

自治体や行政もサービス業

国民や住民に仕え、安心して暮らせるようにさまざまな役務を提供しているという点では、政府や地方自治体もサービス業のひとつだと言えるでしょう。「公共サービス」や「行政サービス」といった表現が使われることもあります。
公共サービスや行政サービスに関しても、情報のデジタル化やネットワークを活用し、正確で公平なサービスを迅速に提供するよう、サービス内容の充実と効率化が進められています。

公共サービス、行政サービスのICT活用

資料を持って説明するサラリーマンと説明を受ける女性のイラスト・デジタルネットワークの画像