商品を販売する業務を行う業種は、小売業だけではありません。卸売業もそのひとつです。「卸売業」の業務と業態について解説します。

小売店、小売業者を顧客にした業態

「卸売業」とは、メーカーなど製造業の企業から仕入れた商品を、他の小売業者や卸売業者に販売する事業のことです。製造と小売の中間に位置し、仲介の役割を担っています。
商品を安定して供給し、時期と量を調整することで価格を決定する役割もあります。例えば、米のように年に1回生産・収穫する作物を問屋と呼ばれる卸売業者が保管し、安定した価格で少量ずつ消費者に供給していきます。また、卸売業には生産者の金融リスクを軽減する機能もあります。商品を生産するまでには、時間とコストが多くかかります。卸売業者が大量に買い付けすることで、生産コストを早く確実に回収できるようになります。

卸売の業態には、多様な種類があります。主な業態は次の通りです。

1. 卸売市場
従来から行われている、市場での販売です。基本的に農産物、海産物、畜産物を取り扱います。
2. 店頭販売
お店で販売する点は小売業と似ていますが、お客様は消費者ではなく小売業者です。問屋街にある店舗が該当します。
3. ルート販売
販売員がお得意様を巡回して販売する業態です。多くの場合お得意様は小売店です。

卸売業の業務は製造業と小売業の仲介

卸売業を説明するサラリーマンのイラスト

ICTを活用して卸売業の機能強化

ネット販売の普及により、商品の販売形態が大きく変わりつつある今、卸売業には転換期を迎えています。小売価格をおさえるために、生産者から小売業者へ、さらに直接、消費者へと、卸売業を仲介しない「卸中抜き」の販売チャネルも増えています。

卸売業者の中には、ディスカウントショップやネット販売のように直接、消費者に販売するチャネルを開拓する会社があります。また、ICTを活用して販売管理や在庫管理をきめ細かく行うことで、取引のスピードアップを図り、データを活かした提案を強みとする会社もあります。
ビッグデータや人工知能(AI)を活用した売上予測や商品開発へのフィードバックなど、卸売業の強みを活かした取り組みが模索されています。

データ活用で新たな展開へ