企業が抱えるリスクと企業保険

企業経営では、事業を継続して行っていくことが重要です、そのためには、日頃からどのようなリスクがあるのかを把握し、リスク対策をすることが求められます。企業を取り巻くリスクは企業の規模にかかわらず、様々なものがあります。企業が抱えるリスクと、対策のひとつとしての労働保険と、多様なリスクに対応する企業保険について説明します。

企業が抱えるリスク

大規模の災害が各地で起き、多くの人が万一の災害に備えをするようになっています。企業にとっても「防災計画」を適切に立てることが、事業継続につながります。地震や津波、台風といった自然災害だけでなく、さまざまな「危険=リスク」を考えなければならない時代です。想定されるリスクとその内容を理解しておきましょう。

◾️天災:地震、津波、台風、豪雨による洪水、火山の噴火など
◾️感染症:新型インフルエンザ。鳥インフルエンザ、SARS(重症急性呼吸器症候群)など
◾️犯罪・テロ:詐欺、窃盗、テロなど
◾️情報リスク:サイバー攻撃、不正アクセス、ウェブサイトの改ざん、情報漏えい、個人情報・顧客情報の紛失・盗難・流出など
◾️製造物責任(PL)に基づくリスク:製造した商品によって、消費者が怪我をしたり、死亡したりすることに対する賠償責任

その他、従業員が仕事中に怪我をしたり、死亡したりした場合は、休業補償や遺族への補償が必要となります。企業の経営者は、労働災害を防ぐために、労働安全法に基づく安全衛生管理責任を果たす義務があります。

企業を取り巻くリスク

働く人と家族を守る「労働保険」

企業で働く人を守るための仕組みとして、「労働保険」の制度があります。労働保険は「労災保険」と「雇用保険」を総称したものです。正社員だけでなく、非正規と呼ばれるパートやアルバイトも含めて労働者を1人でも雇っている企業は、加入義務があります。

◾️労災保険:労働者が仕事や通勤時に怪我をした場合、仕事が原因で病気になったり、無くなったりした場合に、労働者本人や遺族を保護するために補償を給付するものです。
◾️雇用保険:労働者が失業した場合や働き続けることができなくなった場合などに、生活の安定と就職のための支援をするための給付をするものです。

労働保険料のうち、「労災保険」の部分は、事業主が全額負担します。「雇用保険」の部分は事業主と従業員の双方で負担します。労働保険料は、給与の総額と保険料率から計算され、給与から差し引いて徴収します。
会計処理としては、企業が全額を負担する労災保険は、「法定福利費」として計上します。「雇用保険」については、従業員の給与から天引きした分は「預かり金」として扱い、企業が負担する分は「法定福利費」の「未払い金」として処理し、決められた納付時期に労働局に納付します。

労働保険の計算と納付

増える自然災害にきめ細かく備える企業向け「火災保険」「地震保険」

昨今、大きな地震や津波、台風による自然災害と被害が日本全国で、度々、報道されています。突如発生し、予測ができない自然災害のリスクに対応する企業保険には、「火災保険」や「地震保険」などがあります。災害による建物、備品、商品、設備等の損傷に対して、保険金が支払われます。最近の災害の被害に対応し、噴火による損壊もカバーする地震保険もあります。

サイバー攻撃、個人情報の漏えい等の情報リスクに備える「情報漏えい保険」

標的型攻撃の増加など、企業を狙うサイバー攻撃は、悪質化する一方です。また、個人情報保護法の改正により、扱う情報の件数に関わらず、適切に管理することが求められています。
情報の価値が高まっているからこそ、情報が漏えいした場合の補償など、多大な経済的損失が被ります。「情報漏えい保険」には、サイバー攻撃や企業内での過失による個人情報漏えい事故が発生した場合に、被害者への謝罪見舞金や事故後のコンサルティング費用(弁護士への相談、謝罪広告掲載など)を補償するものもあります。経済的損失や社会的信用を可能な限り小さくするために、検討しておく価値があるでしょう。

企業訴訟の損害賠償金にも対応する「企業向け業務災害保険」

労働保険は、労働者本人や遺族に対して、治療費や働けなかったことにより得られなかった賃金の一部、障害が残った場合の補償金、葬祭料などが給付される仕組みです。
しかし、万一、業務が原因で死亡したり、障がいが残ったりしたら、企業側の安全配慮が足りなかったと、従業員やその家族から損害賠償を求められることもあります。労働保険では、そうしたリスクまではカバーされません。
また、過重労働による障がいや死亡に対する補償や損害賠償が起こったら、多大な費用と時間がかかります。そうした企業のリスクの備えとなるのが、「企業向け業務災害保険」です。パートやアルバイトも含む全ての従業員を包括補償し、従業員の怪我と賠償リスクの両方に備えることができます。パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの賠償にも対応する業務災害保険もあります。付帯サービスとして、メンタルヘルスやストレスチェックができるものもあり、リスクを減らすことができるのも企業にとっては対策となるでしょう。

業務の幅広いリスクに対応した保険で備える


掛け金、補償内容、付帯サービスなどの内容について調べ、経営者も従業員も安心して働けるように、各種のリスクに対応した企業保険を活用していくことが企業経営者に求められています。


次のレベルの試験に挑戦して
業務力をアップ!

さらに高いレベルの試験に挑戦して、業務力をパワーアップしましょう。

簿記

簿記 2級

経営管理に役立つ知識として、最も企業に求められる資格の一つ。企業の財務担当者に必須。

次回試験:2019年6月9日
>日商の検定サイト簿記2級

簿記 1級

公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。合格すると税理士試験の受験資格が得られる。

>日商の検定サイト簿記1級


2016 © 業務の教科書