基幹システムは企業活動において最も重要となるデータを管理・運用するものです。大手企業だけでなく、中小企業においても基幹システムにてデータ管理することで効率的な管理が可能になり、利益を最大化することができます。従来は基幹システムといえば高額で運用にも手間がかかったため、導入が容易ではない一面もありましたが、近年はクラウド化により導入の手間もコストも大きく軽減されています。さらにセキュリティ対策から解放されるなどさまざまなメリットがあります。今回は、基幹システムのクラウド化によるメリットと注意点を紹介したうえで、おすすめのシステムを紹介します。
基幹システムとは
基幹システムとは会社を運営するうえで基幹となるシステムのことを指します。具体的には、生産管理や販売管理、在庫管理、勤怠管理など、企業のヒト・モノ・カネに関するさまざまなデータを基幹システムにて管理します。大企業だけでなく中小企業においても企業の重要データを取り扱う基幹システムは正確性、安全性、堅牢性などの高い要件が求められます。
基幹システムの分類
基幹システムは、機能・役割によっていくつかの種類に分類されます。主な基幹システムの分類について種類ごとに紹介します。
生産管理システム
生産管理システムとは、生産に関する在庫、情報、お金の流れを総合的に管理するためのシステムを指します。効率よく納期に間に合わせ顧客満足を高めるために、最小の在庫・費用で商品を提供できるようにするための管理をおこないます。
販売管理システム
販売管理システムとは、「何を、どれだけ、いつ、誰に、いくらで販売し、商品代金をいつ回収するかの管理をおこなうことです。商品と代金の流れを管理することにより、在庫、仕入れ(購買)、在庫を管理します。
在庫管理システム
在庫管理システムとは、自社の在庫を適正に管理するためのシステムのことを指します。缶製品在庫だけではなく、倉庫などにある部品や半製品(まだ完成していない製品)などの在庫も管理します。適正な在庫管理は資金繰りの安定化につながります。
受注管理システム
受注管理システムとは、顧客から受けた注文データの記録や注文書の作成など、受注に関する一連の管理・手続きをおこなうものです。受注管理システムを活用すると、受注・決済・発送などの業務をミスなく簡単に処理できるようになります。
財務・会計システム
売掛や買掛、請求管理など企業の企業活動のお金に関する根幹を管理するのが財務・会計システムです。財務・会計システムの機能によって経理・会計手続きを大きく効率化することができます。
勤怠管理システム
スタッフの出勤日数や労働時間、残業時間などを管理するシステムが勤怠管理システムです。かつては、タイムカードのデータに基づいて管理されるケースが主流でしたが、システムを用いた勤怠管理では集計業務や残業時間の割増賃金の計算などを自動化できます。
基幹システムのクラウド化について
近年は、基幹システムをクラウドかする流れが主流化しています。従来の基幹システムといえば、様々なデータを正確かつ安全に計算・集計・管理する必要性から導入の際には高額な費用や運用負荷が発生しました。そのため、特に中小企業にとって基幹システムは気軽に導入できるものではありませんでした。しかし、そういった問題を抜本的に解決するのがクラウド化です。実際、大手の基幹システムメーカーもクラウド化を全面的に推奨しています。また、一度クラウド化したシステムを利用した企業がその利便性を実感し周囲に推奨しているという背景もあります。総務省が平成30年に発表した「平成29年 通信利用動向調査」によると、企業が利用しているクラウドサービスとして、「ファイル保管、データ共有」(51.2%)、「サーバー利用」(47.6%)、「電子メール」(46.3%)など、クラウド利用が進んでいる背景があります。これらと比較すると、「給与・財務会計・人事」(27.1%)、「生産管理・物流管理・店舗管理」(7.9%)、「購買管理」(7.7%)、「受注管理」(6.8%)とまだ浸透している状況ではありません。しかし、今後、これまで根幹システムの導入を諦めていた中小企業に導入が進むことや、大手企業の根幹システムの入れ替えを進んでいくことから、クラウド化に対応した根幹システムの導入率が飛躍的に高まることが予想されています。
基幹システムをクラウド化するメリット
基幹システムをクラウド化するメリットについて解説します。
管理や運用が不要
オンプレミスの場合、自社内でサーバーを設置・運用するため膨大なコストと手間がかかります。クラウドシステムを導入した場合、社内でサーバー管理をする必要がありません。サーバー維持のための費用やメンテナンスの手間を省くことができるので、効率的に基幹システムを管理することができます。
いつでもどこでも利用できる
オンプレミスの場合、所定のデスクやPCなどでしか業務が出来ないという制約がありますが。クラウドシステムを導入すれば、インターネットに接続できる環境であれば、いつでもどこでも安全に利用することが可能です。スタッフの自宅や出張先など社外からでも利用することができます。在宅勤務スタッフの活用やテレワークなど生産性の高い働き方を構築できます。
常に最新の状態で利用でき、データは自動バックアップが取られる
クラウド型のシステムの場合は、システムアップデートがサービス提供者側でおこなわれるため利用者側で手間のかかるシステムアップデートをおこなったり、そのためのデータのバックアップを取ったりする必要がありません。なお、データは基本的に自動的にバックアップが取られるので、手作業でバックアップを取る必要はありません。
セキュリティ対策に優れている
クラウドシステムは、強固かつ堅牢なセキュリティ対策が施されています。自社にシステムを導入する際には、ファイアウォールを始めとした外部からの不正アクセス防止やログの管理などの対策が不可欠ですが、クラウドの場合は費用や手間のかかるセキュリティ対策から解放されます。
データの連携や共有により業務の効率化が図れる
基幹システム同士を連携させたり、外部の機関と連携したりすることで業務の効率化を図ることができます。複数の個別システムが独立して稼働していることで、二重に業務が発生しているケースなどがあります。そういった問題も、システム連携されることで、解消されます。
基幹システムをクラウド化する際の注意点
基幹システムをクラウド化する際には、リスクも存在します。リスクを軽減するために注意しなければならないポイントについて解説します。注意点のケアについては基本的に、信頼性のある業者のサービスを選ぶことで対応できます。
可用性の高いシステムを選ぶ
クラウドのネットワークに何らかのトラブルが生じた際にシステムがダウンしてしまうと、ユーザー企業にとっては非常に大きな問題です。基幹システムを選ぶ際には、24時間365日システムを利用できるための体制が取られている可用性の高いものを選びましょう。自社が必要とする高可用性のシステムを見合うコストで構築できる機能・環境を用意しているか否かを事前に調べる必要があります。
セキュリティ・コンプライアンス対応
セキュリティ対応から解放される点はクラウド化のメリットですが、サービス提供者のセキュリティ対策が脆弱の場合には非常に大きなリスクになってしまいます。同様に、現地監査対応などのコンプライアンス順守がされているか否かも重要です。者選定の際に、具体的にどのようなセキュリティ対策が取られているか、法令順守がしっかりされているかについてはしっかりとチェックしましょう。
既存のデータの移行の可否
既に基幹システムのデータを自社で管理している場合、データを移行させられるか否かによってその後の業務効率やスムーズに導入できるか否かが大きく変化します。導入前にデータ移行の可否は必ずチェックしましょう。
基幹システムのおすすめクラウドサービス
基幹システムのおすすめクラウドサービス紹介します。それぞれの特徴や料金について記載いたします。
スマイルワークス
スマイルワークスは、プロジェクト別収支管理をサービスの軸として、会計システムとの連動やスマホでのワークフロー承認などバックオフィスの業務効率を高めてくれるサービスです。軽減税率などの最新の法改正にも対応しています。スマイルワークスには「ライト」「スタンダード」「プロ」の3つのプランがあります。ユーザー数3IDのライトプランは、初期費用10,000円、月額9,000円です。
Webサイト:https://www.smile-works.co.jp/
デジタルスフィア
デジタルスフィアは、投入予算に応じて柔軟なクラウドサービスを組み合わせられるタイプのERPサービスです。会社の規模に合わせてサービスを拡張できることや、勤怠や会計などの個別機能から総合的な管理まで拡張できるなどの特徴があります。価格は、800万円~です。
Webサイト:https://peraichi.com/landing_pages/view/ohcid
MJS
MJSは、クラウドサービスを利用したソフトウェアの他に、ハードウェア、運用支援や導入支援といった情報提供などトータル的に会計業務を効率化してくれるサービスです。中小企業の基幹業務向けのパッケージサービスもあるため、安心して導入できます。費用については個別見積もりとなっています。
Webサイト:https://www.mjs.co.jp/
CAM MACS
CAM MACSは、スモール企業に特化したCAMMACS Liteと大手企業にも活用される拡張性に優れたCAM MACS Premiumの二種類が用意されています。中小企業でも気軽に基幹システムが導入できるスマートなサポート体制を整えている企業です。CAM MACS Liteは月額3.5万円から利用できます。
odoo
「一つのニーズに一つのアプリ」を掲げるodooでは、「購買」「経費」「会計」「採用」などニーズごとに必要なアプリを導入できるタイプのクラウドサービスです。10,000点以上のアプリが提供されていることに加え、全てのアプリが連携しているのため、必要なニーズを組み合わせることで自動的に自社に必要なサービスが構築されます。料金はアプリごとに異なりますが、例えば「購買」「経費」などは月額12ドル/1ユーザーの料金設定です。
Webサイト:https://www.odoo.com/ja_JP/